編集後記2017年7月号

【編集後記】 「共謀罪」と「加計学園問題」が盤石と見られた「安倍一強政治」に思わぬ失墜をもたらしました。内閣支持率は「安全保障関連法案」強行後と同水準まで低下しましたが、明らかに今回の方が重症です。「共謀罪」は委員会審議を飛ばして「中間報告」のみで本会議採決を強行するという禁じ手を使い、「加計学園問題」は首相自身の盟友を巡る疑惑隠しが露わになりました。東京五輪のために「共謀罪」が必要だと強弁しながら、IOCが求める「分煙」徹底は完全無視です。ご都合主義に走る政権は末期症状を呈しています。
次号は佐治信行氏「2017年、2018年度マクロ経済の見通し」、山田恵資氏「安倍一強政治の行方」、中岡望氏「米国政治思想から見たトランプ大統領の評価と未来」を掲載予定です。

編集後記2017年6月号

【編集後記】 4月から5月にかけての講演会の中で、複数の講師の方々から、日本の企業部門に積みあがった膨大な内部留保についての指摘がありました。この資金が前向きな投資に使われれば、日本経済は再び輝きを取り戻し、新たな成長軌道に復帰することが出来るかもしれません。グローバル化する市場において、「成長機会がない」という言い訳は通用しません。新たな成長機会を探し出し、リスクを負って再投資を行うことは経営者の責務です。長期にわたって内部留保を積み上げるのは経営者の怠慢でしかありません。
次号は、山田俊浩氏「拡大するネットメディアの行方」、デービッド・アトキンソン氏「新・所得倍増論から見た日本経済」、津上俊哉氏「習近平の中国、トランプの米国」、星浩氏「日本政治はどうなるか」を掲載予定です。

編集後記2017年5月号

【編集後記】 歳出が歳入を大幅に上回る国家予算が提出されたのにもかかわらず、歳出の中身やその是非について国会では大した議論も行われませんでした。いつものこととはいえ、国会議員は本来の務めを一向にはたしていません。その一方で「森友学園」問題は、財務省が交渉経過を明らかにしないままで幕引きされました。行政の業務の遂行がどのように行われているのかを、国民は知る権利があります。国民のプライバシーを侵害する法律を作る一方で、自らの行動を隠蔽する政府は危うい将来につながっていく危険をはらんでいます。
次号は、井手英策氏「尊厳を保障し、財政を変革する」、伊藤元重氏「当面の内外経済の見通し」、加藤出氏「日銀超緩和策の副作用と内外経済」、河野太郎氏「官僚機構をどう改革するか」を掲載予定です。

編集後記2017年4月号

【編集後記】 都議会における豊洲問題に関する証人喚問は、豊洲移転の早期実現を主張する自民党議員と石原、浜渦両証人との波長が見事に一致する猿芝居でした。加えて東京都の豊洲市場における土壌汚染対策に関する専門家会議の平田座長は地下水が汚染されていても地上は安全だと援護射撃をしています。しかし、同じメンバーによる専門家会議は土壌汚染対策として盛り土を提案し、汚染物質が気化して上がってきても盛り土が吸収するとして盛り土を提言したのではなかったでしょうか。提言を受けて行われた盛り土が建物部分では行われていなかったこと、地下水に基準値の100倍を超えるベンゼンが含まれていることを考えると、この気化したベンゼンが地上部分に影響を与えることは、これまでの専門家会議の議論から当然導きだされる危険です。その危険をどのような対策で除去するのか。専門家会議は都民を納得させる義務があります。
次号は、歳川隆雄氏「安倍超長期政権の行方」、熊谷亮丸氏「世界経済の潮流と日本経済の行方」、出口治明氏「歴史を考える」、酒井啓子氏「トランプ政権のアメリカと中東情勢」を掲載予定です。

編集後記2017年3月号

【編集後記】 お金を払って物を買い、物を売ってお金を受け取るという行為はそれぞれが等価交換です。売るものより買うものが多かったから自分は損をしたと考えるのは単純な算数すらできない愚か者でしょう。こんな人が米国の一流大学の卒業生だというのだから驚きです。そして自分の兄をなんの法的な根拠もなく、ただ存在が気に食わないからと言って抹殺する国家指導者が存在することも信じがたいことです。われわれは愚か者と狂人との核のゲームを見守るしかないのでしょうか。
次号は、上原良子氏「ヨーロッパ統合が目指してきたもの」、田中素香氏「英国のEU離脱とEUの将来」、福田耕治氏「英国EU離脱決定後の欧州政治とEU統合の行方」、辺真一氏「波乱の朝鮮半島情勢」、小峰隆夫氏「2017年日本経済の展望と課題」、久坂部羊氏「元医師だった父の上手な平穏死」を掲載予定です。

編集後記2017年2月号

【編集後記】 豊洲新市場の地下水から9回目の最終調査で国の基準値を大幅に上回る有害物質が検出されました。今回の調査は入札で選ばれたこれまでとは異なる調査機関が行いました。なぜこれまでとは大幅にことなる結果が出たのか。諸説紛々ですが、これから何度調査しても今回の結果を消すことはできません。こうした状況に陥る将来のリスクを否定できないのです。地下水が基準値を超えたからといって地上で取引される生鮮品に危険が及ぶわけではないといった専門家の発言がありますが、まさに噴飯ものです。地下水が汚染されていれば気化した有毒ガスが地上に上がってくる。それを防ぐために盛り土をするということではなかったのか。そしてその盛り土は存在しないのです。この計画は白紙に戻すしかないでしょう。
 次号は、藤原帰一氏「トランプのアメリカ」、若田部昌澄氏「トランポノミクスとは何か」、庄司克宏氏「欧州懐疑派の台頭に揺れるEUの2017年」、田中秀征氏「トランプ大統領と日本」を掲載予定です。

編集後記2017年1月号

【編集後記】 昨年末にトルコとドイツで相次いでテロ事件が発生しました。これによって一段と新年の世界が保護的かつ排外的にならないことを願うばかりです。
テロの背景についての報道機関の解説は、どれもこれまでの繰り返しで、あまり参考になる情報はありませんでした。これについては、11月の講演会で池内氏がお話になった「ジハード」が世界に拡散するテロを理解するキーワードとして重要ですし、インターネットの普及も世界を変えてしまいました。
次号は、榊原英資氏「2017年の世界と日本」、田中明彦氏「戦後日本の国際協力と今後の展開」、嶋中雄二氏「2017年日本経済の展望」を掲載予定です。

編集後記2016年12月号

【編集後記】 国会における憲法改正論議が始まりました。思考停止ではなく、とにかく正面から論議がなされることはいいことです。論戦の入り口で扉を閉めるのではなく議論を行うことを決めた野党も正解であったと思います。改憲の是非はともかく日本国憲法をまずしっかり読み込み、本当の意味での理解を深める必要があります。その意味では70年近くも日本国の規範であり続けた憲法の具体的な問題点を指摘するのではなく、成立の経緯が押しつけであったから書き直すべきだという議論を繰り返す自民党の議論はまったく論戦の糸口にはふさわしくありません。
次号は、翁邦雄氏「日本経済に必要な経済政策を考える」、浜矩子氏「グローバル経済の近々未来――あの角の向こう側にあるもの」、池内恵氏「混迷する中東情勢を展望する」、山田孝男氏「皇位継承と政権、報道について」を掲載予定です。

編集後記2016年11月号

【編集後記】 沖縄県警の警備を支援するために派遣された機動隊員の暴言が問題になっています。「土人」「支那人」といった時代がかった差別用語が今の時代に吐き出されることも驚きですが、それを口にする機動隊員のまるで暴力団かと見まがう悪相には開いた口がふさがりませんでした。米軍専用施設の74%が沖縄県に集中している現実と太平洋戦争末期に20万人の県民が犠牲となった歴史を日本人は共有しなければなりません。基地警備の第一線に立つ公務員にその事実を教育することは政府の責務です。また、沖縄県民の感情を逆なでするような行為は在日米軍の存立を危うくし、日米同盟そのものを損なうことになることにも思いを致すべきでしょう。次号は、出雲充氏「僕はミドリムシで世界を救うことに決めました」、上野泰也氏「内外の経済・金融政策はこれからどうなるか」、三浦瑠璃氏「『本当の冷戦後』が始まった日米関係を展望する」、湯浅卓氏「ウォール街が観る米国大統領選挙と日本経済への影響」を掲載予定です。

編集後記2016年10月号

【編集後記】 リオ・オリンピックの余韻もそろそろ薄れてきましたが、一時はテレビも新聞もオリンピックが幅をきかせて一般のニュースは肩身が狭いようでした。今回の大会では日本選手の予想を上回る活躍が盛り上がりを大きくしたと言えるでしょう。その中で片仮名名を持つ日本選手の活躍も目立ちました。日本社会の多様性を示すものとして歓迎すべき現象でしょう。しかし、開催直前情報をレポートした某局の番組でキャスターが「純粋な日本人名の選手がほしい」と口走ったのには驚きました。さすがに周囲の人たちは完全無視でしたが、これは差別丸出しの発言です。民進党の蓮舫氏の「二重国籍」問題についても同様の臭いが濃厚です。偏狭な国粋主義は日本人を貶めることにしかなりません。
次号は、鈴木正彦氏「認知症を考える」、河野龍太郎氏「日本経済の見通し――アベノミクスの帰結は?」、高原明生氏「政治の季節の到来――中国の政治動向」、長尾年恭氏「熊本地震の意味するもの――南海トラフ地震との関係は?」を掲載予定です。