編集後記 2019年4月号

【編集後記】 7月に衆参同日選挙が行われるとの観測がにわかに有力になっています。景気の先行きが不透明になり始め、消費増税の延期の是非を国民に問うことを大義名分として政権に有利な衆参同日選挙を強行するのではないかと言うのです。しかし、前回の衆議院解散にさいしても述べたことですが、衆院解散が「首相の専権事項」だというのは、そもそも憲法の条文を政権に有利に捻じ曲げた虚構の産物です。消費増税の延期は国民に選挙によって付託された議会が粛々と議論して決めればよいのです。
次号は、山内昌之氏「日本1・0とパクス・トクガワナ―日本人には戦略がないのか」、木村幹氏「朝鮮半島をどう見るか」、浜矩子氏「今、気になる『あれらの言葉』―経済的風景の危うさをどう読み解くか」、歳川隆雄氏「衆参同時選挙の可能性大」を掲載予定です。

編集後記 2019年3月号

【編集後記】 安倍首相は口を濁していますが、トランプ氏をノーベル平和賞に推薦したのはどうやら事実のようです。なにしろ当のトランプ氏が得意満面で報告してしまったからです。とにかくご機嫌をとっておくことがこれからの外交上で重要だということは分かりますが、人を推薦するということは、その人の見識が問われる問題です。世界の良識に背を向けて自分のことしか考えない人物を持ち上げる勇気には感嘆するしかないのでしょうか。
次号は、庄司克宏氏「ブレグジット・パラドックス――欧州統合の行方」、西原春夫氏・坂元茂樹氏・萬歳寛之氏・玉田大氏「東アジアにおける〈法の支配〉の構築に向けて」、八代尚宏氏「安倍政権の労働市場改革の現状と課題」、白川方明氏「中央銀行という存在について考える」を掲載予定です。

編集後記 2019年2月号

【編集後記】 世界中で吹き荒れている「反知性主義」の嵐は、これまで当然と考えられてきた常識をいとも簡単に吹き飛ばしてしまいます。これを社会の変化から取り残された無知蒙昧の輩たちの反乱とのみ受け取るのは誤りでしょう。何よりも知の劣化と怠慢がこうした流れを引き寄せたのです。社会の変化に対応した新たな規範の創出こそが知に課せられた役割です。 次号は、藤原帰一氏「2019年の世界――脱グローバル化の時代」、岩井克人氏「ビットコインの将来と資本主義の将来」、程子学氏「中国のハイテク産業・イノベーション教育と日中連携の課題」を掲載予定です。

編集後記 2019年1月号

【編集後記】 日本のキャッシュレス社会を切り開くものになるのではないかとの期待もあったペイペイですが、セキュリティコードの入力が無制限に繰り返せるところから、不正利用が横行し、結果的にキャッシュレス社会の危うさを浮き彫りにする結果になってしまいました。担当者の稚拙な言い訳から浮かび上がる危機意識の欠如はあきれ果てるしかありません。しかし、リスクを熟知していたはずのクレジット会社が、この新参者のシステムの欠陥をまるで見抜けなかったことにも驚かされます。この点に触れているメディアを目にしなかったことも残念でなりません。 次号は、大櫛陽一氏「高血圧症の罠」、嶋中雄二氏「2019年日本経済の展望」、寺島実郎氏「2019年への視座――世界経済の構造変化の中での日本」を掲載予定です。

編集後記 2018年12月号

【編集後記】 最後の内閣改造となるかもということで在庫一掃の大判振舞いをしたせいでしょうか。うそと言い訳と知性のかけらもない輩が国会中継を賑わしています。やはり任命権者の責任は重いと言うことですが、何よりも政治不信がより一層政治離れを加速させるとすれば、その罪は日本の将来に禍根を残すことになるでしょう。
次号は河野龍太郎氏「世界経済の見通し―米中貿易戦争は2020年で終わるか」、宮本雄二氏「最近の中国の対日観と対日姿勢をどう見るか」、中岡望氏「米中間選挙の結果から読むトランプ政権の今後」、新井紀子氏「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」を掲載予定です。

編集後記 2018年11月号

【編集後記】 米中貿易戦争について、専門家の間では、現状の実力の差から、現時点では遠からず中国が屈服するだろうという見方が圧倒的でした。しかし、こうした見方は政治体制の違いを軽視しているように思われます。民主国家である米国においては、中間選挙に向けて派手なパフォーマンスを繰り広げるトランプ氏が喝采を浴びていますが、やがて必要な中国製品を高く買わされる米国の市民や企業、そして中国向けの輸出が減少する穀物や畜産業者からの批判が高まるでしょう。一方、中国は習近平氏の独裁国家です。政府批判など起こりようもありません。米国からの輸入は他の国に代替され、米国向け輸出はそれほど減らず、そしてIT産業は膨大な国内市場を独占して一層成長するでしょう。
次号は、飯尾潤氏「ポピュリズム時代の日本政治」、野口悠紀雄氏「AIの可能性と限界」、唐鎌大輔氏「欧州の経済・金融・政治の現状と展望」、湯浅卓氏「米国の中間選挙・トランプ弾劾・日米貿易摩擦を読む」を掲載予定です。

編集後記 2018年10月号

【編集後記】 ここへ来て、水泳、陸上、バドミントン、テニスと、若い日本選手の活躍が目立っています。まさに2020年の東京に向けてスポーツ界は盛り上がりを見せています、と言いたいところですが、こうした選手たちの活躍を支えなければならない競技団体の不祥事が次々に明るみに出てきました。ボクシング、レスリング、体操など、パワハラ、セクハラ、公金の流用など、長年の不透明な組織運営とボス支配による組織の私物化の実態は、まさに目に余るものがあります。主役である選手が自らの環境を選択する自由が認められ、候補選手の公平な選出が担保されなければ、五輪を主宰する資格が果たしてあるのでしょうか。
次号は、豊島逸夫氏「日銀からトルコまで、市場が発する異音」、平田直氏「新しい『南海トラフ巨大地震』の評価と地震への備え」、翁邦雄氏「日本経済の現状と課題」、曽我豪氏「平成政治史を総括する」を掲載予定です。

編集後記 2018年9月号

【編集後記】 2020年のオリンピック・パラリンピックに向けて、有力種目の選手たちの活躍が連日メディアを賑わしています。その一方でスポーツ団体を巡る疑惑や不祥事も次々に浮上しています。特にレスリング協会とボクシング協会を巡る騒動は、一応公的な役割を担っているはずの組織において、いかに前近代的な運営がなされているかを白日の下にさらしました。指導者によるえこひいきや公金の流用、はては協会認定用具の私的独占販売など、一般社会であれば、関係者の即時退任が当然のやりたい放題であきれてしまいます。日大アメフト部の改革も、選手たちの集会に乗り込んで恫喝を行ったコーチたちが一掃されたという報道はありません。主役であるべき現役の選手たちの意向が無視されたまま、ボス支配が続くような組織を放置する社会は、土台から腐っています。
次号は、上野泰也氏「波乱含みの世界経済をどう読むか」、富坂聰氏「激変する中国と東アジア」、枝野幸男氏「日本の政治の「今」と「これから」を考える」を掲載予定です。

編集後記2018年8月号

【編集後記】 記録的な大雨をもたらした西日本豪雨の後は、記録的な猛暑に見舞われています。日本人は古来災害と共に生きてきたと言って、もっともらしい教訓を垂れる人もいますが、産業革命後の地球は、化石燃料の大量消費の結果、豊かさの代償として地球温暖化という難題を抱え込むことになりました。縄文の昔には戻れませんが、文明のありようを見つめ直すことが必要です。
次号は、塩田潮氏「一寸先は闇の安倍政権」、加藤出氏「日銀超緩和策の副作用と財政危機」、池谷裕二氏「脳を知り脳を活かす」を掲載予定です。

編集後記2018年7月号

【編集後記】 国会の会期延長が与党のゴリ押しで決定して、いわゆるIR法案と公職選挙法改正が審議されています。IRといえばインベスターズ・リレーションのことだと思っていましたが、いつの間にか統合型リゾートが幅を利かせています。それも実態はカジノ賭博を合法化する法案なのです。これまでカジノ法案と呼でいたマスメディアまでが、いつのまにかIR一色になったのは一体どういうことなのでしょうか。
それに参議院の合区に対する該当選挙区向けの言い訳として持ち出された選挙法改正案に至っては党利党略そのものです。与党の良識は一体どこに行ったのでしょうか。
次号は、小島眞氏「成長著しいインドの政治経済の現状と展望」、石川一洋氏「ポストプーチンと日ロ関係」。吉崎達彦氏「地政学リスクと日本経済」を掲載予定です。