編集後記2017年4月号

【編集後記】 都議会における豊洲問題に関する証人喚問は、豊洲移転の早期実現を主張する自民党議員と石原、浜渦両証人との波長が見事に一致する猿芝居でした。加えて東京都の豊洲市場における土壌汚染対策に関する専門家会議の平田座長は地下水が汚染されていても地上は安全だと援護射撃をしています。しかし、同じメンバーによる専門家会議は土壌汚染対策として盛り土を提案し、汚染物質が気化して上がってきても盛り土が吸収するとして盛り土を提言したのではなかったでしょうか。提言を受けて行われた盛り土が建物部分では行われていなかったこと、地下水に基準値の100倍を超えるベンゼンが含まれていることを考えると、この気化したベンゼンが地上部分に影響を与えることは、これまでの専門家会議の議論から当然導きだされる危険です。その危険をどのような対策で除去するのか。専門家会議は都民を納得させる義務があります。
次号は、歳川隆雄氏「安倍超長期政権の行方」、熊谷亮丸氏「世界経済の潮流と日本経済の行方」、出口治明氏「歴史を考える」、酒井啓子氏「トランプ政権のアメリカと中東情勢」を掲載予定です。

編集後記2017年3月号

【編集後記】 お金を払って物を買い、物を売ってお金を受け取るという行為はそれぞれが等価交換です。売るものより買うものが多かったから自分は損をしたと考えるのは単純な算数すらできない愚か者でしょう。こんな人が米国の一流大学の卒業生だというのだから驚きです。そして自分の兄をなんの法的な根拠もなく、ただ存在が気に食わないからと言って抹殺する国家指導者が存在することも信じがたいことです。われわれは愚か者と狂人との核のゲームを見守るしかないのでしょうか。
次号は、上原良子氏「ヨーロッパ統合が目指してきたもの」、田中素香氏「英国のEU離脱とEUの将来」、福田耕治氏「英国EU離脱決定後の欧州政治とEU統合の行方」、辺真一氏「波乱の朝鮮半島情勢」、小峰隆夫氏「2017年日本経済の展望と課題」、久坂部羊氏「元医師だった父の上手な平穏死」を掲載予定です。

編集後記2017年2月号

【編集後記】 豊洲新市場の地下水から9回目の最終調査で国の基準値を大幅に上回る有害物質が検出されました。今回の調査は入札で選ばれたこれまでとは異なる調査機関が行いました。なぜこれまでとは大幅にことなる結果が出たのか。諸説紛々ですが、これから何度調査しても今回の結果を消すことはできません。こうした状況に陥る将来のリスクを否定できないのです。地下水が基準値を超えたからといって地上で取引される生鮮品に危険が及ぶわけではないといった専門家の発言がありますが、まさに噴飯ものです。地下水が汚染されていれば気化した有毒ガスが地上に上がってくる。それを防ぐために盛り土をするということではなかったのか。そしてその盛り土は存在しないのです。この計画は白紙に戻すしかないでしょう。
 次号は、藤原帰一氏「トランプのアメリカ」、若田部昌澄氏「トランポノミクスとは何か」、庄司克宏氏「欧州懐疑派の台頭に揺れるEUの2017年」、田中秀征氏「トランプ大統領と日本」を掲載予定です。

編集後記2017年1月号

【編集後記】 昨年末にトルコとドイツで相次いでテロ事件が発生しました。これによって一段と新年の世界が保護的かつ排外的にならないことを願うばかりです。
テロの背景についての報道機関の解説は、どれもこれまでの繰り返しで、あまり参考になる情報はありませんでした。これについては、11月の講演会で池内氏がお話になった「ジハード」が世界に拡散するテロを理解するキーワードとして重要ですし、インターネットの普及も世界を変えてしまいました。
次号は、榊原英資氏「2017年の世界と日本」、田中明彦氏「戦後日本の国際協力と今後の展開」、嶋中雄二氏「2017年日本経済の展望」を掲載予定です。

編集後記2016年12月号

【編集後記】 国会における憲法改正論議が始まりました。思考停止ではなく、とにかく正面から論議がなされることはいいことです。論戦の入り口で扉を閉めるのではなく議論を行うことを決めた野党も正解であったと思います。改憲の是非はともかく日本国憲法をまずしっかり読み込み、本当の意味での理解を深める必要があります。その意味では70年近くも日本国の規範であり続けた憲法の具体的な問題点を指摘するのではなく、成立の経緯が押しつけであったから書き直すべきだという議論を繰り返す自民党の議論はまったく論戦の糸口にはふさわしくありません。
次号は、翁邦雄氏「日本経済に必要な経済政策を考える」、浜矩子氏「グローバル経済の近々未来――あの角の向こう側にあるもの」、池内恵氏「混迷する中東情勢を展望する」、山田孝男氏「皇位継承と政権、報道について」を掲載予定です。

編集後記2016年11月号

【編集後記】 沖縄県警の警備を支援するために派遣された機動隊員の暴言が問題になっています。「土人」「支那人」といった時代がかった差別用語が今の時代に吐き出されることも驚きですが、それを口にする機動隊員のまるで暴力団かと見まがう悪相には開いた口がふさがりませんでした。米軍専用施設の74%が沖縄県に集中している現実と太平洋戦争末期に20万人の県民が犠牲となった歴史を日本人は共有しなければなりません。基地警備の第一線に立つ公務員にその事実を教育することは政府の責務です。また、沖縄県民の感情を逆なでするような行為は在日米軍の存立を危うくし、日米同盟そのものを損なうことになることにも思いを致すべきでしょう。次号は、出雲充氏「僕はミドリムシで世界を救うことに決めました」、上野泰也氏「内外の経済・金融政策はこれからどうなるか」、三浦瑠璃氏「『本当の冷戦後』が始まった日米関係を展望する」、湯浅卓氏「ウォール街が観る米国大統領選挙と日本経済への影響」を掲載予定です。

編集後記2016年10月号

【編集後記】 リオ・オリンピックの余韻もそろそろ薄れてきましたが、一時はテレビも新聞もオリンピックが幅をきかせて一般のニュースは肩身が狭いようでした。今回の大会では日本選手の予想を上回る活躍が盛り上がりを大きくしたと言えるでしょう。その中で片仮名名を持つ日本選手の活躍も目立ちました。日本社会の多様性を示すものとして歓迎すべき現象でしょう。しかし、開催直前情報をレポートした某局の番組でキャスターが「純粋な日本人名の選手がほしい」と口走ったのには驚きました。さすがに周囲の人たちは完全無視でしたが、これは差別丸出しの発言です。民進党の蓮舫氏の「二重国籍」問題についても同様の臭いが濃厚です。偏狭な国粋主義は日本人を貶めることにしかなりません。
次号は、鈴木正彦氏「認知症を考える」、河野龍太郎氏「日本経済の見通し――アベノミクスの帰結は?」、高原明生氏「政治の季節の到来――中国の政治動向」、長尾年恭氏「熊本地震の意味するもの――南海トラフ地震との関係は?」を掲載予定です。

編集後記2016年9月号

【編集後記】 台風7号が関東から東北沖を経て北海道に上陸、台風一過の関東では猛暑に襲われました。館林では限りなく40度に近い高温を記録しました。40度の体温がつづいたら誰でも病院に駆けつけるでしょう。もはや人間が正常な生活を営めるような気象環境とは言えません。
高温で名高い館林市では市民が樹木を植える運動をしているそうですが、これは正しいと私は思います。温暖化が一層進んでいく中で都市環境を少しでも改善するためには気温の低下につながる方策を考えるしかありません。そのためには水路を復活し、緑を増やすことが最善の方法です。水路を埋めて道路に変え、大量の自動車の通行を可能にしてきた都市政策は、まさに温暖化の時代に都市住民を苦しめることにつながりました。一刻も早く首都高速を撤去して通過車両を環状道路に逃がすべきです。
次号は、石川一洋氏「新しいアプローチと今後の日ロ関係」、行天豊雄氏「通貨動向と日本経済のゆくえ」、曽我豪氏「日本政治と政治報道の未来」を掲載予定です。

編集後記2016年8月号

【編集後記】 本誌がお手元に届くころには東京に新しい都知事がたんじょうしているはずです。どなたに決まるとしても、前回や前々回のような結果にならないことを期待したいものです。今回の選挙は争点がないと言われましたが、都市行政に求められるのは、ホスピタリティの高い都市の創造です。暮らしている都民にとっても、増加し続ける訪問客にとっても、暮らしやすく過ごしやすい都市にうまれかわることが、オリンピック・パラリンピックを成功させ、さらにその後も東京を国際都市として発展させるために重要です。少子高齢化時代の安心と安全を住民や訪問客の目線で考える行政の姿勢が求められています。
次号は、飯尾潤氏「与野党の政策と選挙態勢」、佐治信行氏「2016・2017年マクロ経済展望」、翁百合氏「医療分野の規制改革について」を掲載の予定です。

編集後記2016年7月号

【編集後記】 「無私」とは真逆の嘘と二枚舌に終始した都知事がやっといなくなり、新たな東京の顔を選ぶ運びになりました。まともな人間がまともなことをしてくれるだけでいいのに、まともでない人が続くのは、選ぶ側の都民にも責任があることを痛感せざるを得ません。選びたい候補者がいないときに拒否票を投ずることができるような投票制度ができないものでしょうか。
次号は、和田秀樹氏「現在の医学界の問題点」、井堀利宏氏「アベノミクスの政治経済学:抜本改革の提案」、小幡績氏「アベノミクスの先を考える」、飯尾潤氏「与野党の政策と選挙態勢」を掲載予定です。