編集後記 2018年9月号

【編集後記】 2020年のオリンピック・パラリンピックに向けて、有力種目の選手たちの活躍が連日メディアを賑わしています。その一方でスポーツ団体を巡る疑惑や不祥事も次々に浮上しています。特にレスリング協会とボクシング協会を巡る騒動は、一応公的な役割を担っているはずの組織において、いかに前近代的な運営がなされているかを白日の下にさらしました。指導者によるえこひいきや公金の流用、はては協会認定用具の私的独占販売など、一般社会であれば、関係者の即時退任が当然のやりたい放題であきれてしまいます。日大アメフト部の改革も、選手たちの集会に乗り込んで恫喝を行ったコーチたちが一掃されたという報道はありません。主役であるべき現役の選手たちの意向が無視されたまま、ボス支配が続くような組織を放置する社会は、土台から腐っています。
次号は、上野泰也氏「波乱含みの世界経済をどう読むか」、富坂聰氏「激変する中国と東アジア」、枝野幸男氏「日本の政治の「今」と「これから」を考える」を掲載予定です。

編集後記2018年8月号

【編集後記】 記録的な大雨をもたらした西日本豪雨の後は、記録的な猛暑に見舞われています。日本人は古来災害と共に生きてきたと言って、もっともらしい教訓を垂れる人もいますが、産業革命後の地球は、化石燃料の大量消費の結果、豊かさの代償として地球温暖化という難題を抱え込むことになりました。縄文の昔には戻れませんが、文明のありようを見つめ直すことが必要です。
次号は、塩田潮氏「一寸先は闇の安倍政権」、加藤出氏「日銀超緩和策の副作用と財政危機」、池谷裕二氏「脳を知り脳を活かす」を掲載予定です。

編集後記2018年7月号

【編集後記】 国会の会期延長が与党のゴリ押しで決定して、いわゆるIR法案と公職選挙法改正が審議されています。IRといえばインベスターズ・リレーションのことだと思っていましたが、いつの間にか統合型リゾートが幅を利かせています。それも実態はカジノ賭博を合法化する法案なのです。これまでカジノ法案と呼でいたマスメディアまでが、いつのまにかIR一色になったのは一体どういうことなのでしょうか。
それに参議院の合区に対する該当選挙区向けの言い訳として持ち出された選挙法改正案に至っては党利党略そのものです。与党の良識は一体どこに行ったのでしょうか。
次号は、小島眞氏「成長著しいインドの政治経済の現状と展望」、石川一洋氏「ポストプーチンと日ロ関係」。吉崎達彦氏「地政学リスクと日本経済」を掲載予定です。

編集後記2018年6月号

【編集後記】 大谷翔平選手の活躍は本人の意思を尊重しバックアップした監督の存在があってこそ生まれました。世界のひのき舞台で成功している多くの選手の活躍は自立した前向きの姿勢から生まれています。その一方で選手を支配し、誤った指導を押し付ける古い体質の指導者も跋扈しています。権力に胡坐をかく存在は社会の害毒であるとしか言いようがありません。 次号は、酒井啓子氏「変動する中東域内関係」、小峰隆夫氏「日本経済の現状と政策課題」、山田惠資氏「安倍政権は継続か終焉か」、中林美恵子氏「中間選挙後のトランプ政権とアメリカ」を掲載予定です。

編集後記2018年5月号

【編集後記】 森友・加計問題を巡る公文書改ざんや自衛隊海外派遣部隊の「日報」隠蔽問題では廃棄されたはずの文書が次々に見つかり、政府の答弁の信ぴょう性が大きく揺らぐ事態になりました。そこへ飛び込んできた財務次官のセクハラ問題は本人の全否定後に、被害女性の勤務先が事実関係確認を発表。いずれも官僚が平気でうそをつくことを国民に知らしめました。日本の行政が社会的常識や人間性に欠ける人たちの手に委ねられていることを知るのは大変悲しいことです。
次号は、高橋和夫氏「トランプ政権と中東」、渡部恒雄氏「トランプ政権はどこに向かうのか」、伊藤元重氏「内外経済の動きについて」、篠田英朗氏「日本の国際平和協力活動と憲法改正」を掲載予定です。

編集後記2018年4月号

【編集後記】 習近平、プーチンなど強権的な政権の長期化が顕著になっています。トルコ、フィリッピン、チェコでも、次々に強権政治が力を得ています。民主主義は選挙を通じて国民が政権を選択することが肝ですが、正しい選択をするためには、十分な情報を持ち、まっとうな物の考え方を身に着けた選挙民が必要不可欠です。自由で自立した市民が存在しなければ、民主主義は国家主義に飲み込まれてしまうでしょう。次号は、原田伊織氏「明治維新という《過ち》から何を学ぶか」、川島博之氏「戸籍アパルトヘイト国家、中国の未来」、歳川隆雄氏「今春以降の国内外情勢」、浜矩子氏「グローバル経済の行きはよいよい帰りは恐い」を掲載する予定です。

編集後記2018年3月号

【編集後記】 平昌五輪では日本選手が予想を上回る活躍を見せ、文字通り日本中を沸かせています。強くなった選手の多くが、かつてのような根性一本槍の練習ではなく、科学的な理論に基づく弱点の克服や身体能力の向上のために、世界の最も望ましい環境を探して飛び込んでいく勇気とたくましさを備えているようです。スポーツの世界も頭脳と情報なしには生きていけない時代を迎えています。
次号は、辺真一氏「平昌五輪後の朝鮮半島は和解か、軍事衝突か?日本はどうなる?」、川島隆太氏「スマート・エイジング――認知症ゼロ社会を目指す東北大学の挑戦」、東郷和彦氏・下斗米伸夫氏・隈部兼作氏・小泉悠氏「プーチン政権下のロシアとこれからの日ロ関係」、熊野英生氏「2018年の日本経済を考える」を掲載予定です。

編集後記2018年2月号

【編集後記】 冬季五輪平昌大会では、開催間近になって突然参加を表明した北朝鮮の動向が注目を集めました。参加選手が20人程度なのに派遣人数は応援団230人を含めて500人規模になり、その派遣費用を韓国が負担することになりました。開会式には韓国と北朝鮮の選手が統一旗を掲げてともに行進するとということは、もともと一つの国なのだから、費用負担も当然なのかもしれません。しかし、北朝鮮と韓国の蜜月が北朝鮮の非核化につながるという幻想は全く論外でしょう。
次号は、藤原帰一氏「ポピュリズムをどう考えるか」、吉川洋氏「2018年日本経済の課題」、田中秀征氏「保守本流と自民党本流」を掲載予定です。

編集後記 2018年1月号

【編集後記】 大相撲はもうすぐ初場所が始まります。暴行事件を相撲協会がどのように総括するのかが気になりますが、恐らく通り一遍の結論でしょう。とても白鵬の言うような「膿を出し切る」ことにはならないでしょう。それよりも気になるのは横綱の権威の低下です。現役力士のトップに君臨する白鵬は土俵上の取り組みにおいて度々「厳重注意」を受けています。横綱としてふさわしくないという以前に危険な行為やしてはいけない審判へのクレームなど明らかなルール違反が近年目立っているのです。サッカーであれば警告が重なれば退場になるという明確なルールが確立しています。そうでなければ、違反行為はやり得と言うことになるでしょう。
次号は、寺島実郎氏「2018年への視座」、進藤榮一氏「トランプ以後の世界はどこへ行くのか」、嶋中雄二氏「2018年日本経済の展望」を掲載予定です。

編集後記2017年12月号

【編集後記】 総選挙の結果について、メディアには、「自民党圧勝」とか「自民党大勝」という言葉が溢れましたが、果たしてそうでしょうか。議席数では前回並みでしたが、比例区の得票率をみる限り、とても圧勝とか大勝と呼べる水準ではありません。これで改憲を始めとした俄か仕立ての公約のすべてがお墨付きを貰えたと考えるのはお門違いというものでしょう。とりあえず国民は政権運営を安倍政権にゆだねましたが、それは現状ではそれ以外の選択肢がなかったからです。しかもこの結果は違憲状態の一票の格差に助けられたものであることを見逃してはなりません。次号は、水島治郎氏「ポピュリズムの時代なのか:岐路に立つ現代デモクラシー」、高原明生氏「第19回党大会後の中国」、佐和隆光氏「文系軽視・理系偏重は日本を滅ぼす」を掲載予定です。