編集後記2017年1月号

【編集後記】 昨年末にトルコとドイツで相次いでテロ事件が発生しました。これによって一段と新年の世界が保護的かつ排外的にならないことを願うばかりです。
テロの背景についての報道機関の解説は、どれもこれまでの繰り返しで、あまり参考になる情報はありませんでした。これについては、11月の講演会で池内氏がお話になった「ジハード」が世界に拡散するテロを理解するキーワードとして重要ですし、インターネットの普及も世界を変えてしまいました。
次号は、榊原英資氏「2017年の世界と日本」、田中明彦氏「戦後日本の国際協力と今後の展開」、嶋中雄二氏「2017年日本経済の展望」を掲載予定です。

編集後記2016年12月号

【編集後記】 国会における憲法改正論議が始まりました。思考停止ではなく、とにかく正面から論議がなされることはいいことです。論戦の入り口で扉を閉めるのではなく議論を行うことを決めた野党も正解であったと思います。改憲の是非はともかく日本国憲法をまずしっかり読み込み、本当の意味での理解を深める必要があります。その意味では70年近くも日本国の規範であり続けた憲法の具体的な問題点を指摘するのではなく、成立の経緯が押しつけであったから書き直すべきだという議論を繰り返す自民党の議論はまったく論戦の糸口にはふさわしくありません。
次号は、翁邦雄氏「日本経済に必要な経済政策を考える」、浜矩子氏「グローバル経済の近々未来――あの角の向こう側にあるもの」、池内恵氏「混迷する中東情勢を展望する」、山田孝男氏「皇位継承と政権、報道について」を掲載予定です。

編集後記2016年11月号

【編集後記】 沖縄県警の警備を支援するために派遣された機動隊員の暴言が問題になっています。「土人」「支那人」といった時代がかった差別用語が今の時代に吐き出されることも驚きですが、それを口にする機動隊員のまるで暴力団かと見まがう悪相には開いた口がふさがりませんでした。米軍専用施設の74%が沖縄県に集中している現実と太平洋戦争末期に20万人の県民が犠牲となった歴史を日本人は共有しなければなりません。基地警備の第一線に立つ公務員にその事実を教育することは政府の責務です。また、沖縄県民の感情を逆なでするような行為は在日米軍の存立を危うくし、日米同盟そのものを損なうことになることにも思いを致すべきでしょう。次号は、出雲充氏「僕はミドリムシで世界を救うことに決めました」、上野泰也氏「内外の経済・金融政策はこれからどうなるか」、三浦瑠璃氏「『本当の冷戦後』が始まった日米関係を展望する」、湯浅卓氏「ウォール街が観る米国大統領選挙と日本経済への影響」を掲載予定です。

編集後記2016年10月号

【編集後記】 リオ・オリンピックの余韻もそろそろ薄れてきましたが、一時はテレビも新聞もオリンピックが幅をきかせて一般のニュースは肩身が狭いようでした。今回の大会では日本選手の予想を上回る活躍が盛り上がりを大きくしたと言えるでしょう。その中で片仮名名を持つ日本選手の活躍も目立ちました。日本社会の多様性を示すものとして歓迎すべき現象でしょう。しかし、開催直前情報をレポートした某局の番組でキャスターが「純粋な日本人名の選手がほしい」と口走ったのには驚きました。さすがに周囲の人たちは完全無視でしたが、これは差別丸出しの発言です。民進党の蓮舫氏の「二重国籍」問題についても同様の臭いが濃厚です。偏狭な国粋主義は日本人を貶めることにしかなりません。
次号は、鈴木正彦氏「認知症を考える」、河野龍太郎氏「日本経済の見通し――アベノミクスの帰結は?」、高原明生氏「政治の季節の到来――中国の政治動向」、長尾年恭氏「熊本地震の意味するもの――南海トラフ地震との関係は?」を掲載予定です。

編集後記2016年9月号

【編集後記】 台風7号が関東から東北沖を経て北海道に上陸、台風一過の関東では猛暑に襲われました。館林では限りなく40度に近い高温を記録しました。40度の体温がつづいたら誰でも病院に駆けつけるでしょう。もはや人間が正常な生活を営めるような気象環境とは言えません。
高温で名高い館林市では市民が樹木を植える運動をしているそうですが、これは正しいと私は思います。温暖化が一層進んでいく中で都市環境を少しでも改善するためには気温の低下につながる方策を考えるしかありません。そのためには水路を復活し、緑を増やすことが最善の方法です。水路を埋めて道路に変え、大量の自動車の通行を可能にしてきた都市政策は、まさに温暖化の時代に都市住民を苦しめることにつながりました。一刻も早く首都高速を撤去して通過車両を環状道路に逃がすべきです。
次号は、石川一洋氏「新しいアプローチと今後の日ロ関係」、行天豊雄氏「通貨動向と日本経済のゆくえ」、曽我豪氏「日本政治と政治報道の未来」を掲載予定です。

編集後記2016年8月号

【編集後記】 本誌がお手元に届くころには東京に新しい都知事がたんじょうしているはずです。どなたに決まるとしても、前回や前々回のような結果にならないことを期待したいものです。今回の選挙は争点がないと言われましたが、都市行政に求められるのは、ホスピタリティの高い都市の創造です。暮らしている都民にとっても、増加し続ける訪問客にとっても、暮らしやすく過ごしやすい都市にうまれかわることが、オリンピック・パラリンピックを成功させ、さらにその後も東京を国際都市として発展させるために重要です。少子高齢化時代の安心と安全を住民や訪問客の目線で考える行政の姿勢が求められています。
次号は、飯尾潤氏「与野党の政策と選挙態勢」、佐治信行氏「2016・2017年マクロ経済展望」、翁百合氏「医療分野の規制改革について」を掲載の予定です。

編集後記2016年7月号

【編集後記】 「無私」とは真逆の嘘と二枚舌に終始した都知事がやっといなくなり、新たな東京の顔を選ぶ運びになりました。まともな人間がまともなことをしてくれるだけでいいのに、まともでない人が続くのは、選ぶ側の都民にも責任があることを痛感せざるを得ません。選びたい候補者がいないときに拒否票を投ずることができるような投票制度ができないものでしょうか。
次号は、和田秀樹氏「現在の医学界の問題点」、井堀利宏氏「アベノミクスの政治経済学:抜本改革の提案」、小幡績氏「アベノミクスの先を考える」、飯尾潤氏「与野党の政策と選挙態勢」を掲載予定です。

編集後記2016年6月号

「週刊文春」の記事をきっかけに、舛添都知事の様々な不適切な行為が明るみに出てきました。その内容のあまりにもみみっちくてせこいことには驚かされます。そして、釈明記者会見の誠意のかけらもない空虚さはあきれるばかりです。法的にどうこう言う前に、こんな人物をトップにいただいている都民としては、まさに汗顔の至りです。ただの飾り物だと言う人もいますが、都知事はまさに東京のシンボルです。五輪のエンブレムで大騒ぎする以上に、みっともないトップが居座ることの重みをもっと考えなくてはならないでしょう。
次号は、塩田潮氏「参院選に挑む安倍首相の野望と政権の行方」、豊島逸夫氏「どうなる円高・原油安・中国そしてマイナス金利」、吉川洋氏「日本経済の将来」、青山文平氏「文学青年でも本好きでもなかった私が小説の書き手になった背景」を掲載予定です。

編集後記2016年5月号

【編集後記】 4月14日と4月16日に二回にわたって震度7を記録した熊本地震によって、日本の国土が地震の巣の上に位置していることを改めて実感させられました。そして、どれだけ様々な地震の経験が語られていても、なかなか、行政も住民も真剣に災害への備えをしないことを思い知らされます。様々な備えを怠らない方がよいのはもちろんですが、災害はどこからどのような形で訪れるか分かりません。最後に求められるのは、どのような事態にも耐えて前向きに事態に立ち向かう精神の強靭さでしょう。そして、これまでの災害の現場で培った経験を新しい災害の現場に生かす仕組みが必要だと思われます。地域や行政の枠を超えて、経験を積んだ人材が十分に活躍することができれば、救援と復興はより円滑に実行できるのではないでしょうか。
次号は、中岡望氏「大統領選挙の行方と米国社会の変化」、寺島実郎氏「2016年の世界と日本―真に問われること」、川島博之氏「データで読み解く中国の未来」、伊藤元重氏「内外経済の読み方」を掲載予定です。

編集後記2016年4月号

【編集後記】 3月18日に北朝鮮のノドンが日本海に向けて発射され、そのうちの一発が日本の防空識別圏内に落下しました。この日は辺氏の講演会の当日で、詳しく北朝鮮の危うい行動の背景や狙いを伺うことができたわけですが、防空識別圏への落下の重要性はメディアではあまり論じられませんでした。驚いたことにこの問題に一行も触れない大新聞もありました。政府は後になって破壊命令を出しましたが、もしこれが先制核攻撃であったら日本は甚大な被害に見舞われていたでしょう。
もとより、恐怖を煽ることは望ましくありません。しかし、もしもに備える覚悟は政府にも国民にも必要です。核とミサイルを手にしている追い詰められた指導者が何をするか分からないという現実から目を背けるわけにはいきません。
次号は、歳川隆雄氏「安倍政権と衆参同日選の可能性」、船橋洋一氏「今こそ、自由主義、再興せよ―『湛山読本』から考える」、辺真一氏「急変告げる朝鮮半島情勢」、池尾和人氏「アベノミクスの変容と日本経済」を掲載予定です。