編集後記2018年5月号

【編集後記】 森友・加計問題を巡る公文書改ざんや自衛隊海外派遣部隊の「日報」隠蔽問題では廃棄されたはずの文書が次々に見つかり、政府の答弁の信ぴょう性が大きく揺らぐ事態になりました。そこへ飛び込んできた財務次官のセクハラ問題は本人の全否定後に、被害女性の勤務先が事実関係確認を発表。いずれも官僚が平気でうそをつくことを国民に知らしめました。日本の行政が社会的常識や人間性に欠ける人たちの手に委ねられていることを知るのは大変悲しいことです。
次号は、高橋和夫氏「トランプ政権と中東」、渡部恒雄氏「トランプ政権はどこに向かうのか」、伊藤元重氏「内外経済の動きについて」、篠田英朗氏「日本の国際平和協力活動と憲法改正」を掲載予定です。

経済倶楽部講演録2018年5月号    No.831

2018年5月号目次

明治維新という《過ち》から何を学ぶか
―グランドデザインを描けない社会は崩壊する
作家 原 田 伊 織

戸籍アパルトヘイト国家、中国の未来
東京大学大学院准教授 川 島 博 之

今春以降の国内外情勢
「インサイドライン」編集長 歳 川 隆 雄

グローバル経済の行きはよいよい帰りは恐い
―政策がもたらす呼吸困難
同志社大学大学院教授  浜 矩 子

〔談話室〕慣例読みという迎合  柴生田 晴四

〔会員の広場〕虹色ポスト  安間 孝 信

経済倶楽部便り
読  書  通  信(No.159)
バックナンバーのご案内/編集後記

読書通信 2018年4月号

■ 米国で大ベストセラーになったマイケル・ウォルフ『炎と怒り』早川書房、1944円)が邦訳されて1カ月経った。これは日本でも大いに読まれるべき本だ。とにかく大した取材力である。トランプの寝室にはテレビが3台ある、あの奇妙な髪型は禿を隠すためだ、などというのはどうでもいいことだが、ここまで知っているならその他の情報も正しそうだと読者は信頼するだろう(主要な情報源の一つはバノンらしい)。政権内部がこれほどハチャメチャというのも、要するにトランプ当選を本人、夫人、娘、側近まで誰も信じていなかったからだという。
主要な政権関係者22人のうちすでに13人が辞め、2人が解任間近らしい。世界地図も医療の仕組みもほとんど知らず、本もまともに読んだことがないという大統領が核問題や移民、医療行政の鍵を握っているとは。こんな人とその娘夫婦(ジャーヴァンカと本書は呼ぶ)に支配される国って大丈夫か、改めて考えさせられた。
■ 『明治維新という過ち』『官賊と幕臣たち』はどちらも傑作だったが、後者が原田伊織『続・明治維新という過ち 列強の侵略を防いだ幕臣たち』(講談社文庫、702円)として文庫化された。薩長が開国を果たし封建制に終止符を打ったというのは薩長史観の俗説であり、幕府には列強の無謀な要求に理路整然と論駁して日本の権益を守ろうとした幕臣官僚たちがいた。岩瀬忠震、水野忠則、川路聖謨らである。これに対し、著者によれば西郷や龍馬の実像は惨憺たるものであった。維新百年などという前に本書をじっくり読まれることをお勧めする。
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編集後記2018年4月号

【編集後記】 習近平、プーチンなど強権的な政権の長期化が顕著になっています。トルコ、フィリッピン、チェコでも、次々に強権政治が力を得ています。民主主義は選挙を通じて国民が政権を選択することが肝ですが、正しい選択をするためには、十分な情報を持ち、まっとうな物の考え方を身に着けた選挙民が必要不可欠です。自由で自立した市民が存在しなければ、民主主義は国家主義に飲み込まれてしまうでしょう。次号は、原田伊織氏「明治維新という《過ち》から何を学ぶか」、川島博之氏「戸籍アパルトヘイト国家、中国の未来」、歳川隆雄氏「今春以降の国内外情勢」、浜矩子氏「グローバル経済の行きはよいよい帰りは恐い」を掲載する予定です。

談話室2018年4月号

国家の土台が危うい  柴生田 晴四

経済倶楽部講演録2018年4月号    No.830

2018年4月号目次

平昌五輪後の朝鮮半島は和解か、軍事衝突か?日本はどうなる?
コリア・レポート編集長 辺   真 一
スマート・エイジング-認知症ゼロ社会を目指す東北大学の挑戦
東北大学加齢医学研究所教授 川 島 隆 太

アジア平和貢献センター共催シンポジウム
プーチン政権下のロシアとこれからの日ロ関係
パネリスト1/法政大学法学部教授               下斗米伸夫
パネリスト2/未来工学研究所特別研究員  小泉 悠
パネリスト3/ロシアユーラシア政治経済ビジネス
研究所代表取締役                   隈部 兼作
パネリスト4/京都産業大学教授、世界問題研究所長   東郷 和彦

2018年の日本を考える
第一生命経済研究所首席エコノミスト 熊野 英生

〔談話室〕国家の土台が危うい       柴生田晴四
〔会員の広場〕私のゴルフに奇跡が起きた  小長井 孝
経済倶楽部便り
読書通信(No.158)

バックナンバーのご案内/編集後記

談話室2018年3月号

優生思想の残滓        柴生田   晴四

談話室2018年2月号

3%賃上げ要請の危うさ

談話室2018年1月号

映画雑感8

読書通信 2018年3月号

■ リベラル=革新であるかの意見が多いのはかねて心外だった。実際、自民党にも昔は多くの良質なリベラル政治家がいたではないか。今回、「本来の」保守こそリベラルだと堂々の論陣を張っているのが中島岳志『保守と立憲』スタンド・ブックス、1944円)である。
保守とは人間の能力の不完全さに深く思いを致し、反対意見にも十全に耳を傾ける謙虚さを持つ。全能でないがゆえに、革命(左右にかかわらず)には否定的で改革も常に漸進的である。そしてデモクラシーの重要な点は死者の声に耳を澄ますことだとする。憲法について言えば先人たちの格闘と経験(つまり死者の声である)を教訓として受け止めながら漸進的に改善を進めることだ。安倍首相のような改憲論はこれと真逆の行き方だと全面的に否定している。
著者はこのように保守を規定したうえで、「弱い敵と共存する決意」(オルテガ)すなわち寛容にこそリベラルの本質を見出す。保守、リベラル、立憲主義、改革、自立など、今の時代に考えなければならないテーマにあふれていて、一読、多くを学んだ。貴重な良書である。

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