編集後記 2011年10月号

 京大工学部卒後、文学部史学科へ学士入学し、さらに自衛隊に入って幹部候補生学校に学んだ変わり種の矢野義昭さん。機械工場を経営されていたお父上は当時だいぶがっかりされたようです。
最後は小平学校で教鞭をとって55歳で退官、その後は拓殖大学大学院に入り直して安全保障問題に取り組んでいます。この分野での博士号は同大のみとか。会話していると、日本の安全保障について抱いている危機感がひしひしと伝わってきます。
 
 中国研究者の中国への思いはどなたも複雑なものがあります。経済発展は結構だけれども民主化でも成果を挙げてほしい。日本を代表する中国研究者である国分良成さんの思いもそこにあります。
政府関係の委員会や懇談会での活躍や、法学部長の職責に加えて、慶大剣道部の部長までもと多忙を極めた昨今でしたが、幸い部長も交代、法学部長も9月限りと、ようやく研究や著作に時間がとれそうで…。
 
 中東からユーラシアへの広範な知見で山内昌之さんを超える人はいませんが、北大の史学科に学んだように歴史への強い関心と歴史的視点が基本にあります。転じて幕末を中心とした日本近代史への著述も質量ともに驚くほど。東大定年まであと半年。東奔西走、多忙の中でよくこれほどの著作と読書量がと敬服させられます。
 
 次号は川本裕子氏(日本経済はどこに行くのか)、田中秀征氏(新内閣と政治の行方)、上野泰也氏(日欧米の経済を読み解く)です。