編集後記2012年1月号

今年は「おめでとう」と書かない年賀状が散見されました。被災された方々、風評被害に遭っている方々を考えるとわからなくはありませんが、「講演録」編集者としては新しい年を迎えて気持ちを新たにしてまいりたいと思います。
 慶大で欧州の政治経済を長く講じてこられた田中俊郎さんは、日本で5人しかいない「ジャン・モネ・チェア」の一人。欧州統合の父の名を冠したこの称号はEUについて十全の教育を行う世界の大学教授に欧州委員会が資金助成するもので、業績など厳しい審査があります。「EUはもはや一つの国である」が持論の穏やかな紳士です。
 石橋湛山賞選考委員でもある叶芳和さんが、旧態依然たる郷里・奄美大島の政治風土に風穴を開けようと市長選に出て僅差で敗れてからもう6年、今でも利権派から警戒され悪質なデマを飛ばされるそうです。行動派エコノミストとしてフットワークよく雲南省、ブータンまで知見を広げて張り切っています。
 東北に別に縁があったわけではないのに、金融記者の浪川攻さんは大震災以降、すっかり福島漬けになってしまいました。年末も28日から雪の福島へ。テレビ出演料をためたおカネが消えても出かけています。福島のコミュニティと人がこれから先どうなっていくか、ジャーナリストのこだわりは続きます。
 予定していた神野直彦氏(危機克服の財政学)は都合で次号に。ほかに加藤出氏(中国から見る世界経済)、森田実氏(政界展望)を掲載します。