【編集後記】 ゴールデンウィーク明けの5月8日から新型コロナウィルス感染症の法的な位置づけが第2類から第5類に変更されます。それ自体は当然のこととして歓迎すべきことですが、どうしても釈然としないのは、第5類相当の感染症であるととっくに厚労省の内部で認識されていたにも関わらず、なぜここまで変更が先送りされてきたのか腑に落ちないからです。そもそも第5類相当なら、すべての医療機関がインフルエンザと同様に粛々と治療に当たれば何の問題もないはずです。第2類の位置づけで利益を享受してきた人たちの厚顔と変更に向かおうとする政府を「前のめり」などと揶揄したメディアの無知こそが国を蝕む病巣なのではないでしょうか。
次号は、長尾年恭氏「関東大震災から100年――首都圏の地下に潜む危険」、野口悠紀雄氏「生成系AIの可能性と限界」、下斗米伸夫氏「ウクライナ戦争と平和の条件」、柯 隆氏「三期目の習近平政権始動と中国政治、経済と社会の行方」を掲載予定です。
2023年5月号目次
世界の経済金融情勢
慶應義塾大学総合政策学部教授 白井 さゆり
人権と国家-理念の力と国際政治の現実
スタンフォード大学社会学部教授 筒 井 清 輝
ロシア・ウクライナ戦争の文明論と日本
京都大学名誉教授 佐 伯 啓 思
差し迫る朝鮮半島の危機-日本への影響は?
コリア・レポート編集長 辺 真 一
〔談話室〕映画雑感20 柴生田 晴四
〔会員の広場〕WBCと大谷翔平の人間力 山田 豊
経済倶楽部便り
バックナンバーのご案内/編集後記
【編集後記】 今年は4年ぶりに<RUBY CHAR=”茣”,”ご”><RUBY CHAR=”蓙”,”ざ”>(ブルーシート?)を敷いたお花見が解禁になるようです。ただ、温暖化の影響で東京の桜は3月下旬には満開になる見通しで、4月に入ると桜吹雪の中での宴会になるかもしれません。いずれにしても、正常な日常が戻ってくることは喜ばしい限りです。人と人とが親しく接して心置きなく会話を交わすことは、社会活動が円滑に行われていくための基本です。コロナ禍を経て、もう元には戻れないというもっともらしい言説をもてあそぶ輩がいますが、人間らしい振る舞いを取り戻すことをまず心したいものです。
次号は、白井さゆり氏「米国、欧州、中国、日本の金融経済情勢」、筒井清輝氏「人権と国家――理念の力と国際情勢の現実」、佐伯啓思氏「ロシア・ウクライナ戦争の文明論と日本」、辺真一「差し迫る朝鮮半島の危機」を掲載予定です。
2023年4月号目次
電力崩壊-戦略なき国家のエネルギー敗戦
国際環境経済研究所理事 竹 内 純 子
戦争はいかに終結したか、いかに終結するか
防衛省防衛研究所主任研究官 千々和 泰明
2023年日本経済の現状と課題
大正大学地域構想研究所教授 小 峰 隆 夫
認知症を予防するために
―ちょっと耳よりな認知症予防のおはなし
愛媛大学医学部医学系研究科教授 伊賀瀬 道也
〔談話室〕捨ててみた社会性 柴生田 晴四
〔会員の広場〕 新五千円札「津田梅子」をめぐる人々 松下 滋
経済倶楽部便り
バックナンバーのご案内/編集後記
【編集後記】 国会で審議中の新年度予算は史上最大の水膨れ予算ですが与野党ともに身の丈に合わない赤字予算を批判する声はほとんどなく、ひたすらバラマキを求める声であふれています。赤字国債だのみの状況はつづきますが、野放図な予算膨張を可能にしてきた日銀の超金融緩和政策には変化が起こると考えてよいでしょう。政府に対する独立性の回復や金融市場の機能回復が進めばおのずと金融政策は正常化し、財政規律も徐々に回復に向かうことを期待したいものです。
次号は竹内純子氏「電力崩壊」、千々和秦明氏「戦争はいかに終結したか」、小峰隆夫氏「2023年日本経済の現状と課題」、伊賀瀬道也氏「認知症をどう防ぐか」を掲載予定です。
2023年3月号目次
ウクライナ侵攻後の世界
東京大学名誉教授 藤 原 帰 一
習近平三期目の中国の外交と日本
拓殖大学海外事情研究所教授 富 坂 聰
改憲なしで変わるこの国の形
政治経済アナリスト 古 賀 茂 明
〔談話室〕自由を尊重しない社会性 柴生田 晴四
〔会員の広場〕 062023年(令和5年)兎年について!! 田川 修司
経済倶楽部便り
バックナンバーのご案内/編集後記
【編集後記】 ロシアのウクライナ侵攻後の岸田政権の外交は、もっぱら西側先進国との共同歩調に終始しているように思われます。軍事的圧力を強める中国を念頭に敵基地攻撃能力を含めた防衛力の強化によって中国に対する抑止力を高めることは東西冷戦が復活し、米国の軍事的優位に陰りが見られる現状を考えれば、一定の合理性があるのは確かです。しかし、海上警備の強化や防空体制の見直しなど、急がなければならない課題が山積する中で敵基地能力だけが勇ましく語られる現状には違和感がぬぐえません。しかも西側諸国との一体感が強調される一方で同じように中国の圧力に対峙している東南アジア諸国などアジア域内の国々との対話や連携がおろそかにされている感は否めません。ただ西側諸国に追随するのではなく、アジア域内で友好国の輪をしっかり作り上げていく必要があるでしょう。
次号は、藤原帰一氏「ロシアのウクライナ侵攻後の世界」、富坂聰氏「習近平三期目の中国の外交と日本」。古賀茂明「改憲なしで変わる国の形」を掲載予定です。