談話室2023年1月号

映画雑感19      柴生田  晴四

編集後記 2023年1月号

【編集後記】 防衛費を5年間でGDPの2%まで増額するために増税を検討することが明らかになったとたんに内閣支持率が急落しました。岸田首相はGDPの2%はいまやグローバルスタンダードだと言いますが、一国の予算編成は国家が独立国として何物にも侵されることのない政府権限であるはずです。国際情勢に鑑みて防衛費の増額が必要だと言う主張は理解しますが、まず2%ありきはいただけません。五年間で何をどう強化するのかが先で、それをまかなうのに必要な予算はその後にくるべきものです。そうした議論を素通りしていきなり増税がでてくるのでは支持を失って当然でしょう。
次号は、寺島実郎氏「2023年の視座――世界史の転換点に立って」、田中秀征氏「岸田政権と自民党の行方」、嶋中雄二氏「2023年日本経済の展望」を掲載予定です。

経済倶楽部講演録2023年1月号  No.887

2023年1月号目次

企業成長と経営者
神戸大学大学院教授 三 品 和 広

ロシア・ウクライナ戦争と日本の安全保障
東京大学先端技術研究センター専任講師 小 泉  悠

マネー収縮へ、マーケットをよむ勘所
国際金融マーケット研究家 豊 島 逸 夫

欧州経済の現状と展望
みずほ銀行チーフマーケット・エコノミスト 唐 鎌 大 輔

〔談話室〕映画雑感19   柴生田 晴四
〔会員の広場〕神社あれこれ 小長井  孝

経済倶楽部便り
バックナンバーのご案内/編集後記

読書通信2022年12月号

■ 経済倶楽部で私の在任中に宇沢弘文さんに2度ほど講演していただいた。個人的には良い思い出である。宇沢さんが亡くなって8年、佐々木実『今を生きる思想 宇沢弘文』講談社現代新書、880円)はコンパクトだが内容の濃い良書と思う。何よりまずシカゴ学派との対決から始まり、新古典派経済学への異議申し立て、水俣や三里塚における正義感の発露、『自動車の社会的費用』に象徴される宇沢経済学の全貌など、学問的に筋を通しつつ新境地を切り開いていったその一生が生き生きと語られる。
宇沢さんの「志」がどこにあったのか、あれほど強靭な意志の力が発揮され続けたのはいかにして可能だったのかを知るに最適の書である。城山三郎賞などを受賞した同じ著者の『資本主義と闘った男 宇沢弘文と経済学の世界』を読んだ人も未読の人も、本書によって経済学の地平と人間の生き方とを学ぶことができるだろう。
■ 同じ版元で恐縮だが、とても良い本なので近藤大介『ふしぎな中国』講談社現代新書、990円)を。中国で今、はやっている34の新語や流行語を解説しているのだが、いずれもみな面白く、現代中国の諸相を切り裂いて中国理解に好適な教科書である。例えば「社恐」。会社が怖いのではなく社交つまり人付き合い恐怖症のこと。なんと中国の若者の6割が該当するという。「白衛兵」は紅衛兵のもじりでゼロコロナ下に白い防護服の公安が家に入り込み消毒液をまき散らしピアノも家具も使い物にならなくする横暴への批判だ。権力や社会を皮肉る中国人のセンスもなかなかのもので、大いに参考になる。 続きを読む »

編集後記 2022年12月号

【編集後記】 米国のインフレが減速したことから、FRBによる利上げがペースダウンするとの見方が強まり、円が買い戻されました。しかし、金融政策の方向性の違いや日本経済のパフォーマンスの低さなど、円が再び売られる状況は基本的に変わっていません。景気の好転や金融政策の転換がなければ円安局面に大きな変化はないでしょう。記録的な円安は海外資本にとっては、日本買いのチャンスでもあります。企業、不動産から文化遺産まで、なけなしの大事な資産を失うリスクが高まっていることに真剣に向き合う必要があります。
次号は三品和広氏「企業成長と経営者」、小泉悠氏「ロシア・ウクライナ戦争と日本の安全保障」、豊島逸夫氏「マーケットは収縮の時代へ―マーケットをよむ勘所」、唐鎌大輔氏「欧州経済の現状と展望」を掲載予定です。

談話室2022年12月号

コロナ政策の大転換を切望する   柴生田  晴四

経済倶楽部講演録2022年12月号  No.886

2022年12月号目次

ウイズコロナ、高齢者に必要な2つの”活”
筑波大学人間系教授 山 田  実

変化の時代に向かう内外経済
東京大学名誉教授 伊 藤 元 重

食料安全保障の危機
キヤノングローバル戦略研究所主幹 山 下 一 仁

アメリカの将来を決する中間選挙の行方
ジャーナリスト 中 岡  望

〔談話室〕コロナ政策の大転換を切望する  柴生田 晴四
〔会員の広場〕戦争絶滅請負法案      瀧口 勝行

経済倶楽部便り
読書通信(No.214)
バックナンバーのご案内/編集後記

談話室2022年11月号

「法の支配」ということ 柴生田  晴四

読書通信2022年11月号

■ 「為政者は間違え、代償は庶民が払う」の副題を見て買い求めた。栗原俊雄『戦争の教訓』実業之日本社、1760円)は日本が勝ち目のない戦争に突っ込んでいった迷走の足跡が主題である。石油と鉄(原料屑鉄)の9割以上を米国からの輸入に頼りながら対米開戦へと突き進む当時の為政者たちが悲劇というより喜劇役者のように見える。1941年6月、日本の仏印進駐を受けて米国は石油の対日禁輸に踏み切ったが、日本政府には青天の霹靂だったとは驚きだ。禁輸の可能性を皆無と見ていたとは…。それでもなお半年後には戦争を始めている。終戦交渉でも為政者の浅慮が続く。希望的観測ばかり用意してみたり、ソ連に仲介を持ちかけたり。敗戦1カ月前、面会要求がやっとかない佐藤尚武駐ソ大使がモロトフ外相の部屋に入ったとたんに宣戦布告を読み上げられた一幕など、笑うに笑えない。世界の常識から遠いところにあったかつての日本を改めて振り返り、為政者は常に間違えることを胸に刻み込むことはいつの時代にも必要なことである。
■ 続いて昭和史を裏面からのぞいてみることにした。手に取ったのは黒井文太郎『謀略の昭和裏面史』宝島社新書、990円)である。事件の裏には常に謀略があったことが、次から次へと描かれる。関東軍の謀略の背後に大陸浪人と帝国陸軍がいたことは当然として、彼らの動きを詳細に知ると、謀略を防げるとしたら天皇くらいしかなかっただろうと思えてくる。戦後は戦後で昭電疑獄、下山事件、三島由紀夫自決、ロッキード事件などGHQと右翼、自衛隊が絡み合った事件が頻発した。人物では岸信介、中曽根康弘、児玉誉士夫、笹川良一、瀬島龍三などが登場してきて、改めて知ることも少なくなかった。もはや歴史となった数々の事件がそんな単純なものでなかったことは頭に入れておく価値があると思うことしきりである。 続きを読む »

編集後記 2022年11月号

【編集後記】 水際対策が大幅に緩和され、全国旅行支援が開始されるなど社会経済活動の制限が解除される中で町には賑わいが戻りつつあります。政府は野外でのマスクの着用は必要ないと度々よびかけていますが、まだ7割近い国民がマスクを野外で着用し続けています。ある韓国ジャーナリストは、「同調マスク」と揶揄していますが、先進国では唯一の異常なマスク執着ぶりと言えます。第5類への変更をためらう政府に問題がありますが、一つには、相変わらず感染者数や感染した死者数を報道し続けて恐怖を煽るメディアにも責任があります。次号は、山田実氏「ウィズコロナ、高齢者に必要な2つの“活”」、伊藤元重氏「変化の時代に向かう内外経済」、山下一仁氏「食料安全保障の危機」、中岡望氏「アメリカの将来を決する中間選挙の行方」を掲載予定です。