編集後記 2019年10月号

【編集後記】 内閣改造で自民党では国民に一番人気の小泉進次郎氏が環境相として初入閣し、安倍首相の思惑通りに内閣支持率は上昇しました。一方で、田中和徳復興担当大臣が就任直後の記者会見で、原発自主避難者について「担当外」と発言して物議をかもしています。初入閣組13人の中からは、まだまだ問題が生ずるかも知れません。
次号は、曽我豪氏「2019参院選の面白さを新聞は伝え切れたか」、長尾年恭氏「南海トラフ巨大地震と対応策の課題」、大庭三枝氏「米中対立とASEAN」を掲載予定です。

読書通信 2019年10月号

■ 愛国という言葉や行動ほど厄介なものはない。ヘイトスピーチも領土拡張もそうした旗のもとに展開される。ナショナリズムも怖い。イデオロギーよりナショナリズムこそ警戒せよと半世紀以上前に喝破したのは石橋湛山だった。
将棋面貴巳『日本国民のための愛国の教科書』百万年書房、1848円)は永く海外から日本を見てきた著者が、国を愛する、国を誇りに思う、国のために尽くす、などさまざまな角度から論じている。特に「愛国」をナショナリズム的それと共和主義的それとに峻別することを提起しているのは重要である。前者は国の冷静な評価を怠り溺愛するが、後者は短所もきちんと見極める。そして群れる前者に対し、後者は一人でも立場を貫けるとする。至言だろう。ほかにも教えられることが多い。分量的にも、気軽に手に取れる貴重な一冊である。
■ 語り尽くされたはずの2・26事件だがまだまだ新たな切り口から書かれ続けるのだろう。文芸誌に連載された5つの短編からなる中路啓太『昭和天皇の声』文藝春秋、1760円)は、永田鉄山軍務局長を斬殺した相沢三郎中佐の話から始まる。2話は事件で射殺されたと信じられた岡田啓介総理の救出劇を軸とし、3話は鈴木貫太郎侍従長を身を挺して守った妻たか、とどめを刺さなかった安藤輝三大尉、その部下の三つ巴が主題で、ともに皇道派と統制派の対立がからむ。4話は田中清玄と怪僧玄峰が主役で、最後の話では昭和天皇が専制君主と立憲君主の狭間で苦悩する。どれも余韻十分で読後感のいい秀作だ。16年5月号本欄で取り上げた同じ著者の『ロンドン狂瀾』と併せて推薦したい。 続きを読む »

談話室2019年10月号

災害対策はなぜ後手に回ったのか            柴生田  晴四

経済倶楽部講演録2019年10月号 No.848

2019年10月号目次

長生きのための栄養学
順天堂大学医学部教授 小 林 弘 幸

トランプ外交を読み解く
―中国・イラン・北朝鮮・日米通商協議
笹川平和財団上席研究員 渡 部 恒 雄

2019市場が発する異音
国際金融マーケット研究家 豊 島 逸 夫

〔談話室〕          災害対策はなぜ後手に回ったのか  柴生田 晴四
〔会員の広場〕 メンターと三人のリーダー   廣中 聰

経済倶楽部便り
読 書 通 信(No.176)
バックナンバーのご案内/編集後記

談話室2019年9月号

漂流する廃プラスチック   柴生田   晴四

読書通信 2019年9月号

■ アンダークラス定着で日本も階級社会になったと喝破したのは橋本健二氏だが、中間層の消滅が日本のみならず世界を揺るがしていることを考えると、「階級」は固定的だと思わざるをえない。教育しだいで下の階級から上へ移動できるはずが、その教育がカネ次第とあってままならないのだから事は深刻である。
橘玲『上級国民/下級国民』小学館新書、885円)は、大卒・非大卒、壮年・若年、男・女の6グループに分類してそれぞれの感情、経済力、結婚などを調べている。すると非大卒男子には驚くほど冷酷な現実が待ち構えていることがわかった。経済力に乏しく女性にモテないので生涯独身の可能性が極めて高い。逆に大卒男子の一部は大いにモテて離婚―再婚を繰り返すので、非大卒男子の結婚機会を奪っていく。それほど単純かどうかは議論の余地があるだろうが、非大卒中心の引きこもりが500万人もいるかもと言われると、確かに深刻である。
日本社会の分断は現下の重大問題であり政治家や官僚にこそ読んでもらいたい本だが、どうやら庶民のほうが熱心に読んでいるようだ。欧米の混乱を理解するにも格好の書で、知的好奇心を大いに満足させてくれる。
■ ネット犯罪やネット炎上が増え続け、一方、ネット販売は拡大一途でこの先、本当に大丈夫なのだろうか。ジャロン・ラニアー『今すぐソーシャルメディアのアカウントを削除すべき10の理由』亜紀書房、1944円)はソーシャルメディアの闇を徹底的に究明している。
ネット社会で個人情報を吸い上げアルゴリズムによって金儲けを図るIT企業が批判の対象である。特にフェイスブックとグーグルがアカウントの顧客の行動を本人の気づかぬうちに「修正」していくことが追及される。主体的に情報を得て自ら考えることが対応策として提示されていて、これはネットに限らず重要だと感じさせられた。ちょっと過激だが、怖い世の中で道を間違えないためには肝に銘じたい内容だ。 続きを読む »

編集後記 2019年9月号

【編集後記】 日本政府の輸出優遇措置の撤廃を機に一気に加速した日韓関係の悪化は、韓国政府に改善を模索する動きがあるものの、依然として解決の糸口が見えません。一方的に相手を痛めつけて二国間関係が改善することはあり得ない以上、この政策の目的が国内の不満に対する措置と受け取られても仕方がないでしょう。そうではないと言うのなら、そのきっかけとされる「軍事転用の疑義」について、その具体的な中身を提示してもらいたいものです。 次号は、小林弘幸氏「長生きのための栄養学」、渡部恒雄氏「トランプ外交を読み解く」、豊島逸夫氏「2019市場が発する異音」を掲載予定です。

経済倶楽部講演録2019年9月号 No.847

2019年9月号目次

参院選と今年後半の政治を読む
ノンフィクション作家、評論家  塩 田  潮

米中関係の行方と日本の選択
双日総研チーフエコノミスト    吉 崎 達 彦

低金利下の経済運営について
学習院大学国際社会科学部教授   伊 藤 元 重

〔談話室〕漂流する廃プラスチック    柴生田 晴  四

〔会員の広場〕 渋谷大開発と水道塔  坂 本 正 治

経済倶楽部便り
読 書 通 信(No.175)
バックナンバーのご案内/編集後記

談話室2019年8月号

通商国家の在りよう   柴生田 晴四

編集後記 2019年8月号

【編集後記】 先ごろ公取委がジャニーズ事務所に対して元SMAPメンバーのTV出演への「取引妨害」につながる恐れがあるとして注意を行ったことが報道されました。この問題はかつて解散騒動に際して「談話室」でその前近代性について取り上げたことがあります。公取委の調査では明確な圧力の証拠が得られなかったものの三人の番組出演が激減し、ほぼゼロに近い現状を踏まえて「注意」という形で警告したと言えます。大手芸能事務所に「忖度」しがちな民放の現状と合わせて、今回の注意が今後の芸能界の正常化に資することを期待したいものです。 次号は、塩田潮氏「参院選と今年後半の政治を読む」、吉崎達彦氏「米中関係の今後と日本の選択」、伊藤元重氏「低金利下の経済運営について」を掲載予定です。