編集後記 2020年9月号

【編集後記】 梅雨が長引いた後に例年を上回る猛暑が日本列島を覆っています。自粛とステイホームそしてマスクの着用を強いられてきた国民の身体は暑さへの備えができていません。熱中症のリスクは昨年よりもはるかに高くなっています。多くの専門家がマスク着用によって熱中症のリスクが高まることを警告しています。熱中症による救急搬送は急角度で増え続け、重症者や死者も増えています。しかし、猛暑の中でもほとんどの人がマスクをして炎天下を歩いています。専門家に言わせると野外ですれ違った位では感染しないと言うことですが、強固なマスク信仰には抗する術がありません。
次号は、磯野真穂氏「タテ社会から見るコロナ禍の日本」、高原明生氏「COVID-19に揺らぐ米国と中国」、伊藤元重氏「コロナとマクロ経済」を掲載予定です。

編集後記 2020年8月号

【編集後記】 新型コロナウイルス感染拡大防止を最優先させた自粛が日本を覆っています。私たちは、そろそろ感染のもたらすリスクと、自粛や新生活様式がもたらすリスクとを冷静に比較検証しなければならない時期を迎えています。感染学者の言い分を全て受け入れるのではなく、そのことがもたらす健康への悪影響や経済社会に与える負の側面を十分に考慮に入れたうえでコロナと共存する生活の在り方を選択すべきでしょう。
次号は、原田泰氏「QQEの効果とコロナ不況」、塩田潮氏「〈危機の首相〉の使命と条件とは」、〈夏季特別企画〉新渡戸稲造氏「米人の日本観につき在米中に得たる感想」(昭和8年5月13日講演)を掲載予定です。

編集後記 2020年7月号

【編集後記】コロナ禍による集会の自粛が長引き、この講演録まで待てないという声にこたえるため、講演後に動画配信で講師のお話を直接視聴できるシステムを導入しました。なお、講演後の質問は事務局長と理事長が行っております。会員の方が出席しているわけではありませんので誤解なきよう。皆様に直接お会いできる日を千秋の思いで待っておりますが、現状ではいつ通常の再開ができるか、確たる見通しは得られていません。今しばらくご辛抱いただきたいと存じます。
次号は、佐々木俊尚氏「ポスト・コロナ時代のライフスタイルとテクノロジー」、熊野英生氏「アフターコロナの日本経済」、吉崎達彦氏「コロナショック下の米大統領選」を掲載予定です。

編集後記 2020年6月号

【編集後記】 コロナ騒ぎのどさくさに紛れて検察庁法改正が強行されようとしています。政府は「他省庁の定年延長に合わせるため」と説明していますが、それならなぜ内閣や法務大臣の判断でさらに定年を延長できる規定が新たに盛り込まれたのか。もともと1月に安倍首相に近いとされる黒川東京高検検事長の定年延長を閣議決定による法解釈変更で強行したことへの辻褄合わせとしかいいようのない改正案です。行政からもっとも中立であるべき検察の人事に時の権力が介入できるようになれば、ただでさえ危うい日本の三権分立は根底から揺らぐことになるでしょう。次号は、歳川隆雄氏「コロナ・五輪政局の見通し」、白井さゆり氏「国際経済情勢と日本」、中林美恵子氏「米大統領選の行方と日本を取り巻く国際情勢の変化」、酒井啓子氏「新型コロナ蔓延の中東域政治に与える影響」を掲載予定です。

編集後記 2020年5月号

【編集後記】 コロナ騒ぎがもたらした自粛の日々をいかに有効に過ごすかが今後の日本人の在り方を決めるような気がしています。あり余る時間を古典や文化、芸術の再認識のための天が与えた休暇と考え、これまでの歴史をふりかえり、これからの社会や自らの生き方を考え直すいい機会として活用したいものです。
次号は、熊倉正修氏「日本の経済政策と民主主義」、三浦瑠麗氏「日本人の価値感の違いを探る」、早川英男氏「〈異次元緩和〉7年後の真実」を掲載予定です。

編集後記 2020年4月号

【編集後記】 WHOは2月29日に新型コロナウイルスの感染防止対策として、マスクなどの適切な使い方の指針を公表しました。咳、くしゃみなどの症状のない人は、予防目的でマスクを着用する必要はない、として過度な着用を戒めています。すでに極度の供給不足から、医療や介護などマスクの着用が欠かせない現場からは悲鳴が上がっており、政府はこうした機関へのマスクの提供に乗り出していますが、完全に行き渡るかどうか疑問です。予防目的でマスクの着用を強要する企業も散見されますが、こうした行為は公共の利益を損なうものと言えるでしょう。
次号は市川眞一氏「政治の季節となる2020年度経済へのインパクト」、青山瑠妙氏「変容する国際秩序・転機を迎えた中国の外交」、山田孝男氏「ワード・ポリティクス/コラムニストが考える、これからの日本」を掲載予定です。

編集後記 2020年3月号

【編集後記】 両親から虐待されたり、ネグレクトされたりした子供たちが死に追いやられる痛ましい事件が跡を絶ちません。そうした結果に至った多くのケースで本来子供たちの最後の砦になるべき児童相談所が機能していなかった事実が判明しています。最近の例では午前3時に母親に家から追い出された小学6年生の少女が、詳しい事情も聞いてもらえることもなくインターホン越しに門前払いを食わされたケースがありました。少子化を嘆く前に、悲惨な状態に置かれた子供たちを社会全体で保護し、育てる仕組みを作り上げることが必要でしょう。次号は野口悠紀雄氏「日本経済の行方」、原田伊織氏「軍国日本を創った明治維新」、大場弘行氏「日本を覆う公文書クライシス」、片山善博氏「地方自治のガバナンス」を掲載予定です。

編集後記 2020年2月号

【編集後記】 「桜を見る会」の招待者名簿は官の記録そのものが存在しないことが明るみに出ました。この政権下で行われた公文書の改ざんや隠蔽の数々を考えれば、この政権が公文書の意義をないがしろにしてきた事実は拭い様がありません。そしてIR法案を巡る贈収賄事件は、この法案の成立を強引に推し進めた与党議員の多くが汚い金を懐に入れていた事実を明らかにしつつあります。また、麻生副総理による「日本は単一民族」発言も、およそ資質に欠ける人間が政府の中枢に居座っている現実を改めて浮き彫りにしました。そして何よりも恐ろしいのは、これほど明らかな民主政治の危機的状況にも関わらず、内閣支持率が高止まりしていることです。
次号は藤原帰一氏「潮流2020 動乱の世界」、柿崎明二氏「独裁とねじれ」、高橋洋一氏「2020年の日本経済を読む」、鵜飼秀徳氏「寺院を活かせば地方は蘇る」を掲載予定です。

編集後記 2020年1月号

【編集後記】 2020年の前半はきっと五輪狂奏曲で騒がしいことになるのでしょう。金メダルの数を競って愛国心を掻き立てるオリンピック精神とは無縁のアナクロニズムが横行することを思うと今からうんざりします。そして国民とメディアが浮かれている間にも日本の国力は低下を続け、景気の失速が忍び寄っているのではないでしょうか。
次号は中岡望氏「波乱含みの米国大統領選をどう読むか」、河野龍太郎氏「グローバル経済の早期回復はあるか」、嶋中雄二氏「2020年日本経済の展望」、寺島実郎氏「2020年への視座――世界経済の構造変化と日本の進路」を掲載予定です。

編集後記 2019年12月号

【編集後記】 空気を読めない人をKYと呼んで嘲笑ったり忌避したりする風潮がいつのころからか日本社会に蔓延するようになりました。仲間や集団に溶け込むことをよしとする空気は、時に権力に阿り、不正や不合理を放置して社会を腐敗させる結果につながります。若い世代の保守化は、反抗の芽を摘み取ることで社会の安定を求めてきた宿痾そのものの結果なのかもしれません。しかし、現実を疑い、安定よりも変革を志向する精神がなければ、日本の将来には衰退しか望めないでしょう。
次号は、田原総一朗氏「時代をよむ」、小泉悠氏「2024年のロシアを見通す」、加藤出氏「金融緩和競争再燃の行方」、飯尾潤氏「『有権者は神様です』で民主政は機能できるか」を掲載予定です。