編集後記 2022年6月号

【編集後記】 夏本番を前に、松野官房長官が野外でのマスク着用は熱中症の危険を高めるので人との距離が保てる場合はむしろ控えてほしいとの趣旨を呼びかけました。一方で児童のマスク生活が健康に有害であることが早くから指摘されているにも関わらず、児童のマスク着用を推奨しないとする見解の表明に政府は最近まで及び腰でした。一部の専門家と称する人たちの見解にのみしたがって幅広い分野の専門家の総合的な判断を仰ごうとしてこなかった政府や行政府の罪はいずれ取り返しのつかない結果となって現れるでしょう。
次号は歳川隆雄氏「ウクライナ戦争と岸田文雄政権の行方」、隈部兼作氏「経済制裁を受けているロシア経済の現状・見通しと課題」、庄司克宏氏「ロシアのウクライナ侵攻後におけるソフトパワーEUの現状と展望」、河野龍太郎氏「グローバル経済と日本の超低金利政策の行方」を掲載予定です。

編集後記 2022年5月号

【編集後記】 簡単に制圧できると高をくくって泥沼の戦争に身動きがとれなくなったロシアのプーチンとゼロコロナにこだわって大都市上海を混乱に導いた中国の習近平。いずれも自らの力を過信して社会を混乱に導いたところは共通しています。中国には漢民族とは異なる文化を有する地域が周辺に存在し、漢民族の支配に苦しんでいます。人間の尊厳を認めない前時代的な強権支配がいつまで続くのか。我々にできるのは自立した市民が主役となる民主国家の範となることでしょう。
次号は原田泰氏「新しい資本主義とは何か」、青山瑠妙氏「流動化する国際情勢と中国の対外政策」、相澤孝夫氏「コロナ禍で明白となった我が国に必要な医療改革」、下斗米伸夫氏「ソ連崩壊からウクライナ戦争まで――悲劇の背景と平和の条件」を掲載予定です。

編集後記 2022年4月号

【編集後記】 ウクライナ戦争の勃発は、中国の海洋進出や北朝鮮の核ミサイル開発に悩まされている日本にとって決して対岸の火事ではありません。しかし、元首相による「日本も核保有を検討すべきだ」との発言には驚かされました。他国から簡単に侵略されないための自衛力の確保は当然必要ですし、特に海に囲まれた日本にとって今の海上警備体制はあまりに貧弱です。中国機やロシア機の接近に対する自衛隊機の緊急発進が増えている現実ももっと認識すべきでしょう。しかし、いきなり核の保有に言及することにどんな意味があるのでしょうか。日本は核不拡散条約の下でアメリカの核の傘に入ることで抑止力を確保しています。不用意な核保有発言は日本の安全を脅かすことにしかなりません。
次号は竹中治堅氏「岸田文雄政権のコロナ危機対応と新しい資本主義」、辺真一氏「韓国新大統領誕生!新大統領の対日、対北政策は?」、鈴木亘氏「コロナ禍の医療崩壊はなぜ起きたのか」、野口悠紀雄氏「日本は先進国の地位から滑り落ちようとしている」を掲載予定です。

編集後記 2022年3月号

【編集後記】 オミクロン株の感染が猛威を振るった第6波もどうやらピークを超えたようです。相変わらずマスコミは感染数の多さを騒ぎ立てていますが、重視すべきは、重症者や死者の数です。死者のほとんどか80歳以上だと言われますが、そのうちのどれだけがコロナウイルスによるものだったかは定かではありません。単に死者のうち感染していた人の数でしかないのです。コロナは治っていたが老衰で死んだ人が含まれていたとの報告もあります。コロナで病死した人のために通常の年よりもどのくらい増えたかを検証する必要があります。
次号は柯隆氏「習近平政権の正念場と2022年の中国経済の展望」、宇野重規氏「民主主義とは何か―2022年の視点」、西野智彦氏「日銀漂流、その漂着先」を掲載予定です。

編集後記 2022年2月号

【編集後記】 発足当初こそ自前の人事やオミクロン株の水際対策で機敏な動きを見せた岸田政権ですが、通常国会での論戦では新味のまったくない答弁でいかにも凡庸さを露呈しています。何よりも看板の「新しい資本主義」のどこが新しいのか。出てきた論文の中身は総花的な役人の作文としか思えず、まさしくタイトル倒れです。
次号は藤原帰一氏「米中競合時代は世界をどう変えるのか」、柴生田晴四氏「経済倶楽部誕生とその時代」、吉川洋氏「日本経済の現状と課題」、古賀茂明氏「地に堕ちた日本の政治・行政の再生策」を掲載予定です。

編集後記 2022年1月号

【編集後記】 2021年も年の瀬に至ってまたも新たな統計不正が明るみに出ました。三年前の厚生労働省の問題が表面化した際には、全ての官庁統計の作成が適切に行われているかどうかが精査されて、必要な改善がなされたはずでした。しかし、いくら形式的な調査を行っても、担当者が統計の意味を理解して本来の趣旨から外れないように誠実に取り組んでいるかどうかまでは検証できなかったのでしょう。どうやら、お役所の統計に対する意識は依然としてお粗末極まるものであるようです。安倍・菅政権の強権政治体質が権力に阿ってつじつま合わせの杜撰な統計をはびこらせた遠因ではないでしょうか。
次号は豊島逸夫氏「コロナ相場、本番は2022年」、嶋中雄二氏「2022年の日本経済展望」、寺島実郎氏「日本経済・産業再生の視座」を掲載予定です。

編集後記 2021年12月号

【編集後記】 あわただしく岸田政権がスタートしました。事前には苦戦を予想された総選挙を自民党単独過半数確保で乗り切り、幹事長への茂木敏充氏と外務大臣への林芳正氏起用で安倍離れを演出、案外この人は化けるのかもと思わせましたが、一方では現金給付で相も変わらぬバラマキが続きます。評価を下すのはまだ早いというところでしょう。
次号は鈴木荘一氏「徳川慶喜の明治維新」、上野泰也氏「コロナ危機が長引く中で内外経済・マーケットをどう見るか」、飯尾潤氏「総選挙後の岸田政権のゆくえ」、唐鎌大輔氏「欧州の政治・経済・金融情勢の展望」を掲載します。

編集後記 2021年11月号

【編集後記】 厚生労働省はこの冬のコロナ感染第6波で受け入れが必要な患者数を3万4000人と推計し、不足する受け入れ病床数5000の上積みを要請しました。第5波で受け入れができずに自宅で容体が急変する患者が多数出たことへの反省に基ずくものでしょう。しかし、より広範な発症者を治療できるようにするには、開業医を含めたすべての医療機関が受け入れ先になる指定感染症第5類への転換を急ぐべきでしょう。
次号は小峰隆夫氏「コロナ危機下の日本経済の課題」、宮沢孝幸氏「新型コロナウイルスの正体と付き合い方」、大庭三枝氏「インド太平洋時代の国際連携と日本」、与良正男氏「衆院選後、政治はどうなる」を掲載予定です。

編集後記 2021年10月号

【編集後記】 今号がお手元に届く時には、コロナ感染の第5波が収束し、緊急事態宣言もひとまず解除されているでしょう。第5波の推移を見る限り、専門家と称する人たちが大好きな「人流」と感染との間の因果関係は極めて疑わしいと言わざるを得ません。基本的人権に抵触する行動制限を国民に強いるのであれば、明確な科学的根拠が必要です。
次号は岡浩一朗氏「病を生む座りすぎ――それでもあなたは座り続けますか」、星浩氏「総選挙と政局の行方」、長尾年恭氏「南海トラフ巨大地震と富士山噴火」、冨坂聰氏「米中対立時代の日中関係」を掲載予定です。

編集後記 2021年9月号

【編集後記】 緊急事態宣言の拡大と延長が決定した。多くの国民が行政と専門家と称する人たちの呼びかけに耳を貸さなくなっています。法的規制の強化を叫ぶ愚かな政治家もいますが、説得力も現場感覚もない対策を繰り返す政治と行政がもはや国民の信頼を失いつつあることを肝に銘じるべきです。
次号は塩田潮氏「危機の権力の使命と条件――コロナ・五輪・次期総選挙と菅政権の命運」、白井さゆり氏「新型コロナ感染危機以降の世界と日本――金融・財政政策の政策協調と中央銀行の直面する課題」、伊藤元重氏「GX(グリーン・トランスフォーメーション)と日本経済」を掲載予定です。