編集後記 2020年3月号

【編集後記】 両親から虐待されたり、ネグレクトされたりした子供たちが死に追いやられる痛ましい事件が跡を絶ちません。そうした結果に至った多くのケースで本来子供たちの最後の砦になるべき児童相談所が機能していなかった事実が判明しています。最近の例では午前3時に母親に家から追い出された小学6年生の少女が、詳しい事情も聞いてもらえることもなくインターホン越しに門前払いを食わされたケースがありました。少子化を嘆く前に、悲惨な状態に置かれた子供たちを社会全体で保護し、育てる仕組みを作り上げることが必要でしょう。次号は野口悠紀雄氏「日本経済の行方」、原田伊織氏「軍国日本を創った明治維新」、大場弘行氏「日本を覆う公文書クライシス」、片山善博氏「地方自治のガバナンス」を掲載予定です。

編集後記 2020年2月号

【編集後記】 「桜を見る会」の招待者名簿は官の記録そのものが存在しないことが明るみに出ました。この政権下で行われた公文書の改ざんや隠蔽の数々を考えれば、この政権が公文書の意義をないがしろにしてきた事実は拭い様がありません。そしてIR法案を巡る贈収賄事件は、この法案の成立を強引に推し進めた与党議員の多くが汚い金を懐に入れていた事実を明らかにしつつあります。また、麻生副総理による「日本は単一民族」発言も、およそ資質に欠ける人間が政府の中枢に居座っている現実を改めて浮き彫りにしました。そして何よりも恐ろしいのは、これほど明らかな民主政治の危機的状況にも関わらず、内閣支持率が高止まりしていることです。
次号は藤原帰一氏「潮流2020 動乱の世界」、柿崎明二氏「独裁とねじれ」、高橋洋一氏「2020年の日本経済を読む」、鵜飼秀徳氏「寺院を活かせば地方は蘇る」を掲載予定です。

編集後記 2020年1月号

【編集後記】 2020年の前半はきっと五輪狂奏曲で騒がしいことになるのでしょう。金メダルの数を競って愛国心を掻き立てるオリンピック精神とは無縁のアナクロニズムが横行することを思うと今からうんざりします。そして国民とメディアが浮かれている間にも日本の国力は低下を続け、景気の失速が忍び寄っているのではないでしょうか。
次号は中岡望氏「波乱含みの米国大統領選をどう読むか」、河野龍太郎氏「グローバル経済の早期回復はあるか」、嶋中雄二氏「2020年日本経済の展望」、寺島実郎氏「2020年への視座――世界経済の構造変化と日本の進路」を掲載予定です。

編集後記 2019年12月号

【編集後記】 空気を読めない人をKYと呼んで嘲笑ったり忌避したりする風潮がいつのころからか日本社会に蔓延するようになりました。仲間や集団に溶け込むことをよしとする空気は、時に権力に阿り、不正や不合理を放置して社会を腐敗させる結果につながります。若い世代の保守化は、反抗の芽を摘み取ることで社会の安定を求めてきた宿痾そのものの結果なのかもしれません。しかし、現実を疑い、安定よりも変革を志向する精神がなければ、日本の将来には衰退しか望めないでしょう。
次号は、田原総一朗氏「時代をよむ」、小泉悠氏「2024年のロシアを見通す」、加藤出氏「金融緩和競争再燃の行方」、飯尾潤氏「『有権者は神様です』で民主政は機能できるか」を掲載予定です。

編集後記 2019年11月号

【編集後記】 開催まで1年を切った東京オリンピック・パラリンピックは、準備も順調に進んでいるようです。初めての日本開催となったラグビーW杯が予想外の盛り上がりを見せ、これで来年の東京五輪も成功疑いなしと思われた方も多いでしょう。しかし、突如IOCから降って湧いたマラソン札幌開催案には驚きました。主催都市抜きで進められた経緯にも納得がいきませんが、選手や競技への暑さへの対処を真剣に考えるのなら、IOCは開催時期の変更をなぜにべもなく拒否したのか。ご都合主義としかいいようがありません。
次号は柯隆氏「高まる東アジアの地政学リスク」、辺真一氏「日韓対立の原因と今後」、望月衣塑子氏「民主主義とは何か―安倍政権とメディア」、福田耕治氏「英国EU離脱問題とEU統合の行方」を掲載予定です。

編集後記 2019年10月号

【編集後記】 内閣改造で自民党では国民に一番人気の小泉進次郎氏が環境相として初入閣し、安倍首相の思惑通りに内閣支持率は上昇しました。一方で、田中和徳復興担当大臣が就任直後の記者会見で、原発自主避難者について「担当外」と発言して物議をかもしています。初入閣組13人の中からは、まだまだ問題が生ずるかも知れません。
次号は、曽我豪氏「2019参院選の面白さを新聞は伝え切れたか」、長尾年恭氏「南海トラフ巨大地震と対応策の課題」、大庭三枝氏「米中対立とASEAN」を掲載予定です。

編集後記 2019年9月号

【編集後記】 日本政府の輸出優遇措置の撤廃を機に一気に加速した日韓関係の悪化は、韓国政府に改善を模索する動きがあるものの、依然として解決の糸口が見えません。一方的に相手を痛めつけて二国間関係が改善することはあり得ない以上、この政策の目的が国内の不満に対する措置と受け取られても仕方がないでしょう。そうではないと言うのなら、そのきっかけとされる「軍事転用の疑義」について、その具体的な中身を提示してもらいたいものです。 次号は、小林弘幸氏「長生きのための栄養学」、渡部恒雄氏「トランプ外交を読み解く」、豊島逸夫氏「2019市場が発する異音」を掲載予定です。

編集後記 2019年8月号

【編集後記】 先ごろ公取委がジャニーズ事務所に対して元SMAPメンバーのTV出演への「取引妨害」につながる恐れがあるとして注意を行ったことが報道されました。この問題はかつて解散騒動に際して「談話室」でその前近代性について取り上げたことがあります。公取委の調査では明確な圧力の証拠が得られなかったものの三人の番組出演が激減し、ほぼゼロに近い現状を踏まえて「注意」という形で警告したと言えます。大手芸能事務所に「忖度」しがちな民放の現状と合わせて、今回の注意が今後の芸能界の正常化に資することを期待したいものです。 次号は、塩田潮氏「参院選と今年後半の政治を読む」、吉崎達彦氏「米中関係の今後と日本の選択」、伊藤元重氏「低金利下の経済運営について」を掲載予定です。

編集後記 2019年7月号

【編集後記】 日米欧の経済は、超金融緩和政策によって、何とか景気拡大を実現してきました。しかし、長期に及んだ景気拡張期も、そろそろ下降局面に向かう兆しが見え始めています。最も成長のスピードが速かった米国は、すでに緩和政策を次々に解除して金融引き締めに転じています。景気下降が明らかになれば、再び金融緩和に向かう準備は整っていると言えるでしょう。EUも米国ほどではありませんが日本よりも高い経済成長を背景に出口戦略を模索し始めています。しかし、日本には下降局面に転じた時の手立てがほとんどありません。財政出動は積みあがった政府債務をさらに膨張させて地獄への扉を開くことになります。痛みを回避し続けて選挙民の歓心を買い続けてきた政府のツケはいずれ国民が支払うことになるでしょう。次号は、白井さゆり氏「グローバル経済の構造変化と見通し」、木本昌秀氏「極端気象・異常気象と地球温暖化」、小峰隆夫氏「平成経済の回顧と令和経済の課題」を掲載予定です。

編集後記 2019年6月号

【編集後記】 梅雨入りを控えた5月後半の東京は、連日30度を超える真夏日が予想されています。その後には例年よりも長い梅雨が待っているようですが、近年雨の降り方も強烈な集中豪雨が多くなりました。極端に振れる気候変動は進行する地球温暖化に起因すると言われますが、東京の場合には、緑を排除し続けた開発の結果としての砂漠化が事態を深刻化させています。猛暑を和らげる最大の武器は緑と水ですが、都市部では依然として、開発が進行し、愚かなことに90万戸近い空き家を生み出しています。人の住まない家を全て木々の緑に変えれば、都市環境は飛躍的に向上するでしょう。時代遅れの新築住宅促進一辺倒の政策が転換するのは一体いつのことでしょうか。
次号は、三浦瑠麗氏「21世紀の戦争と平和」、藻谷浩介氏「人口減で激変する日本、東アジア、世界の2020年代」、酒井啓子氏「中東新冷戦を読み解く」、山田惠資氏「政治の現状と日本の行方」を掲載予定です。