編集後記 2022年1月号

【編集後記】 2021年も年の瀬に至ってまたも新たな統計不正が明るみに出ました。三年前の厚生労働省の問題が表面化した際には、全ての官庁統計の作成が適切に行われているかどうかが精査されて、必要な改善がなされたはずでした。しかし、いくら形式的な調査を行っても、担当者が統計の意味を理解して本来の趣旨から外れないように誠実に取り組んでいるかどうかまでは検証できなかったのでしょう。どうやら、お役所の統計に対する意識は依然としてお粗末極まるものであるようです。安倍・菅政権の強権政治体質が権力に阿ってつじつま合わせの杜撰な統計をはびこらせた遠因ではないでしょうか。
次号は豊島逸夫氏「コロナ相場、本番は2022年」、嶋中雄二氏「2022年の日本経済展望」、寺島実郎氏「日本経済・産業再生の視座」を掲載予定です。

編集後記 2021年12月号

【編集後記】 あわただしく岸田政権がスタートしました。事前には苦戦を予想された総選挙を自民党単独過半数確保で乗り切り、幹事長への茂木敏充氏と外務大臣への林芳正氏起用で安倍離れを演出、案外この人は化けるのかもと思わせましたが、一方では現金給付で相も変わらぬバラマキが続きます。評価を下すのはまだ早いというところでしょう。
次号は鈴木荘一氏「徳川慶喜の明治維新」、上野泰也氏「コロナ危機が長引く中で内外経済・マーケットをどう見るか」、飯尾潤氏「総選挙後の岸田政権のゆくえ」、唐鎌大輔氏「欧州の政治・経済・金融情勢の展望」を掲載します。

編集後記 2021年11月号

【編集後記】 厚生労働省はこの冬のコロナ感染第6波で受け入れが必要な患者数を3万4000人と推計し、不足する受け入れ病床数5000の上積みを要請しました。第5波で受け入れができずに自宅で容体が急変する患者が多数出たことへの反省に基ずくものでしょう。しかし、より広範な発症者を治療できるようにするには、開業医を含めたすべての医療機関が受け入れ先になる指定感染症第5類への転換を急ぐべきでしょう。
次号は小峰隆夫氏「コロナ危機下の日本経済の課題」、宮沢孝幸氏「新型コロナウイルスの正体と付き合い方」、大庭三枝氏「インド太平洋時代の国際連携と日本」、与良正男氏「衆院選後、政治はどうなる」を掲載予定です。

編集後記 2021年10月号

【編集後記】 今号がお手元に届く時には、コロナ感染の第5波が収束し、緊急事態宣言もひとまず解除されているでしょう。第5波の推移を見る限り、専門家と称する人たちが大好きな「人流」と感染との間の因果関係は極めて疑わしいと言わざるを得ません。基本的人権に抵触する行動制限を国民に強いるのであれば、明確な科学的根拠が必要です。
次号は岡浩一朗氏「病を生む座りすぎ――それでもあなたは座り続けますか」、星浩氏「総選挙と政局の行方」、長尾年恭氏「南海トラフ巨大地震と富士山噴火」、冨坂聰氏「米中対立時代の日中関係」を掲載予定です。

編集後記 2021年9月号

【編集後記】 緊急事態宣言の拡大と延長が決定した。多くの国民が行政と専門家と称する人たちの呼びかけに耳を貸さなくなっています。法的規制の強化を叫ぶ愚かな政治家もいますが、説得力も現場感覚もない対策を繰り返す政治と行政がもはや国民の信頼を失いつつあることを肝に銘じるべきです。
次号は塩田潮氏「危機の権力の使命と条件――コロナ・五輪・次期総選挙と菅政権の命運」、白井さゆり氏「新型コロナ感染危機以降の世界と日本――金融・財政政策の政策協調と中央銀行の直面する課題」、伊藤元重氏「GX(グリーン・トランスフォーメーション)と日本経済」を掲載予定です。

編集後記 2021年8月号

【編集後記】 故渋沢栄一氏は満州事変が勃発した1931年にその生涯を閉じました。日本が世界の孤児になることを憂いた氏は最後まで日米戦争の回避のために尽力されましたが、満州事変以降の日本は戦争への道を突き進んでいきます。くしくも同じ年に誕生した経済倶楽部は正常な精神を失いつつあった日本に自由な言論の砦を残すために設立されました。個人の自立こそが資本主義の発展の要であると考えた渋沢氏の精神も想起しつつ今後も活動を続けたいと思います。
次号は、渡部恒雄氏「バイデン政権の戦略と米中関係の行方」、鹿島茂氏「渋沢栄一のフランス体験と資本主義観、夏季特別企画・清澤洌「日本外交史の特質」(1941年5月2日)を掲載予定です

編集後記 2021年7月号

【編集後記】 例年よりも早い梅雨入りが発表になりました。湿度が高くなれば、熱中症の危険は増すことになります。そしてマスクの着用によって体温が上昇すれば、リスクはさらに高くなります。他人との濃厚接触の可能性がない場所でのマスクの着用を控えて、熱中症で命を危険にさらすことのないようにお過ごしください。
次号は早川英男氏「〈日本化〉とマクロ経済政策の変貌」、保阪正康氏「石橋湛山首相と日本近現代史」、三浦瑠麗氏「アフターコロナと日本の進路」を掲載予定です。

編集後記 2021年6月号

【編集後記】 やっと一般国民へのワクチン接種が本格化してきました。行政の対応の遅れや不手際を非難する声は相変わらず高いようですが、ワクチンによって日本社会を覆っている不安の霧が晴れてくれればそれに越したことはありません。コロナ恐怖が蔓延している中で昨年の日本人の死者数は久ぶりに減少しました。そしてコロナ関連の死者の二倍以上の自殺者が出ています。恐怖をあおることでいかに息苦しい社会を作り上げてしまったのかに思いをはせるべきでしょう。
次号は歳川隆雄氏「衆院解散・総選挙はいつか―菅政権の行方」、河野龍太郎氏「バイデン政権の高圧経済戦略の帰結は?」、吉崎達彦氏「アフターコロナの世界を考える」、酒井啓子氏「バイデン政権下の米国の対中東政策:イスラエル情勢、イラン、中東の民主化」を掲載予定です。

編集後記 2021年5月号

【編集後記】 「家から出ないでください」、「旅行はキャンセルしてください」といったことを小池都知事や医師会の幹部が相変わらず連日叫んでいます。しかし、どういうときに感染しやすいかという本質的なことを棚に上げた自粛要請は社会に対しても、市民一人ひとりに対しても深刻な副作用をもたらしかねません。そもそも自粛という行為は自ら考えて決めるもので他人から指図されるものではないのです。国民が一丸となって立ち向かう時だとか、同調しない者を非難し排除する社会の空気は、まさしく戦時中そのままです。特に感染防止を最優先に市民をあおり、政府をけしかけるマスメディアは、まさに戦時を彷彿させます。
次号は、此本臣吾氏「コロナ禍が加速させるデジタル化への対応」、渡辺努氏「コロナ経済危機の真因」、森田洋之氏「〈医療崩壊〉の不都合な真実」、小泉悠氏「2020年代のロシアを見通す」を掲載予定です。

編集後記 2021年4月号

【編集後記】 国民皆保険制度は確かに日本の優れた制度です。しかし、今回のコロナ禍では、医療提供体制のお粗末な現状が明らかになりました。勤務医の過酷な日常の一方で発熱した患者は来ないで下さいと平然と張り紙をする開業医。日本の医療制度の欠陥と放置されてきた既得権益の問題にもっとメスをいれなければならないでしょう。
次号は、竹中治堅氏「菅政権とコロナ危機」、永濱利廣氏「2021年の日本経済」、中岡望氏「ポスト・トランプのアメリカ社会と政治」、小川和久氏「バイデン時代の日本の安全保障を考える」を掲載予定です。