編集後記 2019年10月号

【編集後記】 内閣改造で自民党では国民に一番人気の小泉進次郎氏が環境相として初入閣し、安倍首相の思惑通りに内閣支持率は上昇しました。一方で、田中和徳復興担当大臣が就任直後の記者会見で、原発自主避難者について「担当外」と発言して物議をかもしています。初入閣組13人の中からは、まだまだ問題が生ずるかも知れません。
次号は、曽我豪氏「2019参院選の面白さを新聞は伝え切れたか」、長尾年恭氏「南海トラフ巨大地震と対応策の課題」、大庭三枝氏「米中対立とASEAN」を掲載予定です。

編集後記 2019年9月号

【編集後記】 日本政府の輸出優遇措置の撤廃を機に一気に加速した日韓関係の悪化は、韓国政府に改善を模索する動きがあるものの、依然として解決の糸口が見えません。一方的に相手を痛めつけて二国間関係が改善することはあり得ない以上、この政策の目的が国内の不満に対する措置と受け取られても仕方がないでしょう。そうではないと言うのなら、そのきっかけとされる「軍事転用の疑義」について、その具体的な中身を提示してもらいたいものです。 次号は、小林弘幸氏「長生きのための栄養学」、渡部恒雄氏「トランプ外交を読み解く」、豊島逸夫氏「2019市場が発する異音」を掲載予定です。

編集後記 2019年8月号

【編集後記】 先ごろ公取委がジャニーズ事務所に対して元SMAPメンバーのTV出演への「取引妨害」につながる恐れがあるとして注意を行ったことが報道されました。この問題はかつて解散騒動に際して「談話室」でその前近代性について取り上げたことがあります。公取委の調査では明確な圧力の証拠が得られなかったものの三人の番組出演が激減し、ほぼゼロに近い現状を踏まえて「注意」という形で警告したと言えます。大手芸能事務所に「忖度」しがちな民放の現状と合わせて、今回の注意が今後の芸能界の正常化に資することを期待したいものです。 次号は、塩田潮氏「参院選と今年後半の政治を読む」、吉崎達彦氏「米中関係の今後と日本の選択」、伊藤元重氏「低金利下の経済運営について」を掲載予定です。

編集後記 2019年7月号

【編集後記】 日米欧の経済は、超金融緩和政策によって、何とか景気拡大を実現してきました。しかし、長期に及んだ景気拡張期も、そろそろ下降局面に向かう兆しが見え始めています。最も成長のスピードが速かった米国は、すでに緩和政策を次々に解除して金融引き締めに転じています。景気下降が明らかになれば、再び金融緩和に向かう準備は整っていると言えるでしょう。EUも米国ほどではありませんが日本よりも高い経済成長を背景に出口戦略を模索し始めています。しかし、日本には下降局面に転じた時の手立てがほとんどありません。財政出動は積みあがった政府債務をさらに膨張させて地獄への扉を開くことになります。痛みを回避し続けて選挙民の歓心を買い続けてきた政府のツケはいずれ国民が支払うことになるでしょう。次号は、白井さゆり氏「グローバル経済の構造変化と見通し」、木本昌秀氏「極端気象・異常気象と地球温暖化」、小峰隆夫氏「平成経済の回顧と令和経済の課題」を掲載予定です。

編集後記 2019年6月号

【編集後記】 梅雨入りを控えた5月後半の東京は、連日30度を超える真夏日が予想されています。その後には例年よりも長い梅雨が待っているようですが、近年雨の降り方も強烈な集中豪雨が多くなりました。極端に振れる気候変動は進行する地球温暖化に起因すると言われますが、東京の場合には、緑を排除し続けた開発の結果としての砂漠化が事態を深刻化させています。猛暑を和らげる最大の武器は緑と水ですが、都市部では依然として、開発が進行し、愚かなことに90万戸近い空き家を生み出しています。人の住まない家を全て木々の緑に変えれば、都市環境は飛躍的に向上するでしょう。時代遅れの新築住宅促進一辺倒の政策が転換するのは一体いつのことでしょうか。
次号は、三浦瑠麗氏「21世紀の戦争と平和」、藻谷浩介氏「人口減で激変する日本、東アジア、世界の2020年代」、酒井啓子氏「中東新冷戦を読み解く」、山田惠資氏「政治の現状と日本の行方」を掲載予定です。

編集後記 2019年5月号

【編集後記】 連休が明けると、改元に関わるお祭り騒ぎも一段落して相も変わらぬ日常生活が戻ってくることになります。空疎な議論に終始する国会、大事なことにはいっこうに触れようとしないメディア、先行きの不安を言い訳に保守的見通しが続出する企業の決算発表などが目に浮かびます。ポピュリズムと排外主義が吹き荒れる国際社会において、もともと限定的「開国」でグローバル化の果実だけを享受してきた日本は、すでに始まっている五輪狂想曲にうつつをぬかしながら現実逃避を続けていくことになるのでしょうか。
次号は、高原明生氏「建国70周年を迎える中国の内憂外患」、田中秀征氏「平成を振り返って」、下斗米伸夫氏「日ロ関係:歴史と現代」、熊野英生氏「生産性向上をどう実現するか」を掲載予定です。

編集後記 2019年4月号

【編集後記】 7月に衆参同日選挙が行われるとの観測がにわかに有力になっています。景気の先行きが不透明になり始め、消費増税の延期の是非を国民に問うことを大義名分として政権に有利な衆参同日選挙を強行するのではないかと言うのです。しかし、前回の衆議院解散にさいしても述べたことですが、衆院解散が「首相の専権事項」だというのは、そもそも憲法の条文を政権に有利に捻じ曲げた虚構の産物です。消費増税の延期は国民に選挙によって付託された議会が粛々と議論して決めればよいのです。
次号は、山内昌之氏「日本1・0とパクス・トクガワナ―日本人には戦略がないのか」、木村幹氏「朝鮮半島をどう見るか」、浜矩子氏「今、気になる『あれらの言葉』―経済的風景の危うさをどう読み解くか」、歳川隆雄氏「衆参同時選挙の可能性大」を掲載予定です。

編集後記 2019年3月号

【編集後記】 安倍首相は口を濁していますが、トランプ氏をノーベル平和賞に推薦したのはどうやら事実のようです。なにしろ当のトランプ氏が得意満面で報告してしまったからです。とにかくご機嫌をとっておくことがこれからの外交上で重要だということは分かりますが、人を推薦するということは、その人の見識が問われる問題です。世界の良識に背を向けて自分のことしか考えない人物を持ち上げる勇気には感嘆するしかないのでしょうか。
次号は、庄司克宏氏「ブレグジット・パラドックス――欧州統合の行方」、西原春夫氏・坂元茂樹氏・萬歳寛之氏・玉田大氏「東アジアにおける〈法の支配〉の構築に向けて」、八代尚宏氏「安倍政権の労働市場改革の現状と課題」、白川方明氏「中央銀行という存在について考える」を掲載予定です。

編集後記 2019年2月号

【編集後記】 世界中で吹き荒れている「反知性主義」の嵐は、これまで当然と考えられてきた常識をいとも簡単に吹き飛ばしてしまいます。これを社会の変化から取り残された無知蒙昧の輩たちの反乱とのみ受け取るのは誤りでしょう。何よりも知の劣化と怠慢がこうした流れを引き寄せたのです。社会の変化に対応した新たな規範の創出こそが知に課せられた役割です。 次号は、藤原帰一氏「2019年の世界――脱グローバル化の時代」、岩井克人氏「ビットコインの将来と資本主義の将来」、程子学氏「中国のハイテク産業・イノベーション教育と日中連携の課題」を掲載予定です。

編集後記 2019年1月号

【編集後記】 日本のキャッシュレス社会を切り開くものになるのではないかとの期待もあったペイペイですが、セキュリティコードの入力が無制限に繰り返せるところから、不正利用が横行し、結果的にキャッシュレス社会の危うさを浮き彫りにする結果になってしまいました。担当者の稚拙な言い訳から浮かび上がる危機意識の欠如はあきれ果てるしかありません。しかし、リスクを熟知していたはずのクレジット会社が、この新参者のシステムの欠陥をまるで見抜けなかったことにも驚かされます。この点に触れているメディアを目にしなかったことも残念でなりません。 次号は、大櫛陽一氏「高血圧症の罠」、嶋中雄二氏「2019年日本経済の展望」、寺島実郎氏「2019年への視座――世界経済の構造変化の中での日本」を掲載予定です。